セッション情報 一般演題

タイトル 36:

出血性十二指腸潰瘍止血後に、瘻孔を伴う肝膿瘍を合併した一例

演者 原野 雄一(田畑胃腸病院 消化器科)
共同演者 安藤 純哉(田畑胃腸病院 消化器科), 門 卓生(田畑胃腸病院 消化器科), 森川 輝久(田畑胃腸病院 消化器科), 名生 諭史(田畑胃腸病院 消化器科), 吉田 俊一(田畑胃腸病院 消化器科)
抄録 【症例】77歳、女性【主訴】食指不振、吐気【家族歴】特記事項なし【既往歴】平成20年 経皮的冠動脈形成術 【現病歴】他院で高血圧、糖尿病、狭心症のため抗血小板薬など内服加療中の患者。平成24年7月11日頃から全身倦怠感、吐気、食欲不振のため来院、採血で炎症所見を認め入院となる。【入院後経過】入院同日に行った上部内視鏡で十二指腸前璧に出血性潰瘍を認めた。焼灼術で止血を試みたが不能であり、エピネフリン添加高張食塩水による止血を行った。その後、炎症所見の改善及び潰瘍の止血を確認し経口摂取を開始した。経過中一日のみ発熱があったものの、腹痛などの症状は伴わず経過観察で解熱した。比較的深い潰瘍のため他臓器腫瘍などの除外の目的でCTを撮影したところ肝左葉を中心に多房性の液面形成を伴う肝膿瘍を認めた。このため経皮経肝的肝膿瘍ドレナージで加療することとした。ドレナージの際の造影で肝膿瘍内腔から十二指腸球部への流出が確認でき十二指腸潰瘍の穿通と考えられた。同日に38度台の発熱があったもののその後抗生剤投与で改善した。経過中のドレナージチューブ造影で腹腔内へのリークを認めたが腹膜炎などの合併症は認めなかった。内視鏡下での十二指腸造影及びドレナージチューブ造影で瘻孔の閉鎖及びリークを認めないことを確認の上経口摂取を開始し退院となる。【考察】近年、内視鏡技術の進歩により多くの出血性潰瘍に対しては内視鏡的止血術が第一選択となっている。しかしながら、深掘れ胃潰瘍では壁の菲薄化が強く、特に十二指腸では穿孔、穿通などの合併症が散見される。今回我々は、十二指腸前壁の潰瘍に対する止血術後、瘻孔を有する肝膿瘍に対し内科的に治療し得たので、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 十二指腸潰瘍, 肝膿瘍