セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 55:閉塞性黄疸を来した巨大肝嚢胞に対し,塩酸ミノサイクリン注入療法が奏効した1例 |
演者 | 八幡 晋輔(兵庫県立加古川医療センター 消化器内科) |
共同演者 | 廣畑 成也(兵庫県立加古川医療センター 消化器内科), 塩澤 寛子(兵庫県立加古川医療センター 消化器内科), 白川 裕(兵庫県立加古川医療センター 消化器内科), 高橋 直人(兵庫県立加古川医療センター 消化器内科), さか本 喜雄(兵庫県立加古川医療センター 消化器内科), 大内 佐智子(兵庫県立加古川医療センター 消化器内科), 堀田 和亜(兵庫県立加古川医療センター 消化器内科), 尹 聖哲(兵庫県立加古川医療センター 消化器内科) |
抄録 | 症例は76歳,男性.2週間前からの尿濃染,全身倦怠感を主訴に当院を受診.T-Bil 9.3mg/dlと黄疸があり,腹部エコー・CT にて肝門部S4/8に12cm大の嚢胞および両側肝内胆管の拡張を認め,巨大肝嚢胞による胆管圧迫に伴う閉塞性黄疸と診断した.嚢胞は単房性で壁不整や腫瘤像を認めず,試験穿刺の細胞診にて悪性所見を認めないことから良性単純性肝嚢胞と考えられた.高齢であることやドレナージチューブの自己抜去の危険性を考慮し,one puncture methodにて治療する方針とした.エコーガイド下に18G針にて嚢胞を穿刺し,茶褐色で混濁した内容液を約800mlドレナージしたところ内腔はほぼ消失し,2cm大まで縮小したため,塩酸ミノサイクリン(MINO)200mgを生理食塩水20mlに溶解して注入を行い,抜針した.その後黄疸は軽減したが,1週間後の腹部エコーでは,嚢胞内腔にフィブリンと思われる構造物を認めるものの10cm大まで再増大し,また肝内胆管の拡張も残存していた.追加治療が必要と判断し,穿刺排液後MINO注入を計3回施行することで嚢胞内腔はほぼ器質化,縮小し,肝内胆管の拡張は消失した.外来にて経過観察を行っているが,現在のところ再増大を認めていない.良性単純性巨大肝嚢胞が原因で閉塞性黄疸を呈する症例の報告は稀である.治療法については,肝切除や嚢胞摘出術,dome resection(deroofing),開窓術などの外科的治療と,穿刺ドレナージおよび無水エタノールやMINO注入療法などの保存的治療がある.今回われわれは,閉塞性黄疸を来した巨大肝嚢胞に対して,one puncture methodによるMINO注入療法を行い,合併症なく奏効した1例を経験したため,若干の文献的考察を加え報告する. |
索引用語 | 巨大肝嚢胞, 閉塞性黄疸 |