セッション情報 一般演題

タイトル 5:

内視鏡的に診断が困難であった上部消化管出血の一例

演者 楊 和典(兵庫医科大学肝胆膵内科)
共同演者 岩田  恵典(兵庫医科大学肝胆膵内科), 長谷川  国大(兵庫医科大学肝胆膵内科), 石井 昭生(兵庫医科大学肝胆膵内科), 高嶋  智之(兵庫医科大学肝胆膵内科), 坂井  良行(兵庫医科大学肝胆膵内科), 池田 直人(兵庫医科大学肝胆膵内科), 会澤  信弘 (兵庫医科大学肝胆膵内科), 田中  弘教(兵庫医科大学肝胆膵内科), 榎本  平之(兵庫医科大学肝胆膵内科), 斎藤  正紀(兵庫医科大学肝胆膵内科), 今西  宏安(兵庫医科大学肝胆膵内科), 下村  壮治(兵庫医科大学肝胆膵内科), 飯島 尋子(兵庫医科大学肝胆膵内科), 西口  修平(兵庫医科大学肝胆膵内科)
抄録 【はじめに】上部消化管出血のまれな原因の1つとしてHemosuccus pancreaticusがある。これは、慢性膵炎や膵仮性嚢胞、膵腫瘍の合併症として起こる膵管からの出血である。今回、我々は膵仮性動脈瘤破裂によると考えられる消化管出血を来たした1例を経験したので報告する。【症例】54歳、男性【主訴】吐血【既往歴】慢性膵炎に伴う仮性膵嚢胞に対して超音波内視鏡下に穿刺術術後【嗜好歴】焼酎 3合/日、【現病歴・経過】慢性膵炎、仮性膵嚢胞にて当院外来通院中の患者。昼食後に突然の腹痛を自覚、トイレにて吐血、タール便をして倒れているのを発見し当院救急搬送となる血液検査でHb 10.2g/dlと貧血が認められたため緊急入院となった。胃内視鏡で明らかな出血源となる病変は指摘できなかったため保存的に加療を行ったが、入院当日夜間に再度吐血、血液検査でHb 4.7g/dlと高度な貧血を認めた。再度胃内視鏡、腹部造影CTを行ったところ、動脈相で脾動脈前方に脾仮性動脈瘤と考えられるhigh density areaを認め、また嚢胞内には血腫と思われるhigh densityの内容物も認められた。 この時点で吐血の原因として膵仮性動脈瘤破裂が考えられ、当院放射線科で腹部血管造影を行った。腹腔動脈造影検査で脾動脈から大きな仮性動脈瘤が造影され、造影剤のpoolingを認めたため、仮性動脈瘤のneckを含み脾動脈に対しコイル塞栓を行った。その後、膵仮性動脈瘤は血栓化、現在まで出血を認めていない。【考察】消化管出血の原因として、慢性膵炎の膵仮性動脈瘤破裂はまれであるが、鑑別診断の1つとして考慮する必要があると考えられた。
索引用語 吐血, 仮性膵動脈瘤