セッション情報 一般演題

タイトル 18:

不明熱を契機に診断された肝、胃、腎サルコイドーシスの一例

演者 竹尾 元裕(関西医科大学香里病院 内科)
共同演者 加藤 孝太(関西医科大学香里病院 内科), 小藪 雅紀(関西医科大学香里病院 内科), 大宮 美香(関西医科大学香里病院 内科), 廣原 淳子(関西医科大学香里病院 内科), 高山 康夫(関西医科大学香里病院 内科), 保坂 直樹(関西医科大学香里病院 病理部), 岡崎 和一(関西医科大学内科学第三講座)
抄録 【症例】32歳女性【主訴】発熱、歐気【既往歴】27歳より気分障害で心療内科投薬加療中【現病歴】約2週間より39℃の発熱、嘔気、顔面の紅斑を認め、近医で肝機能障害を指摘され当院紹介となり、精査加療目的で入院となった。【経過】血液検査で白血球上昇(白血球分画で好酸球増多)、肝胆道系酵素の上昇、軽度の腎機能障害を認めた。当初ウイルス感染症あるいは薬剤性肝障害を疑われた為、全薬剤内服中止のうえ安静、輸液で経過観察を行った。しかし症状の改善は認めなかった為、上部消化管内視鏡、胸腹部CT、肝生検を施行した。上部内視鏡検査では、胃体部に表層性胃炎様の粘膜発赤を認め、同部位からの生検で非乾酪性類上皮細胞性肉芽腫(好酸球浸潤なし)を認めた。また肝生検でも同様の非乾酪性類上皮細胞性肉芽腫を認めたが、肝病変には多数の好酸球の浸潤を認めた。胃と肝臓で好酸球浸潤の有無に相違があった事の病的意義は不明であったが、炎症部位に一致して非乾酪性類上皮細胞性肉芽腫を認めた事からサルコイドーシスが強く疑われた。第7病日より急激な腎機能の増悪を認め、腎サルコイドーシスの合併も疑われた。第10病日よりプレドニン25mg/日の内服を開始した。その後、速やかに自覚症状および血液所見は改善し、第43病日に退院となった。【考察】サルコイドーシスは、両側肺門リンパ節、肺、眼、皮膚に罹患頻度が高いが原因不明の多臓器疾患であり、肝、胃、腎のみに病変が限局する症例はきわめてまれと考えられたので、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 サルコイドーシス, 肝機能障害