セッション情報 シンポジウム1「消化器診療におけるイノベーション」

タイトル S1-6:

新たに保険適用となったWallFlex colonic stentの大腸癌イレウスに対する使用経験

演者 島田 守(医療法人 彩樹 守口敬任会病院 外科)
共同演者 高尾 美幸(医療法人 彩樹 守口敬任会病院 消化器内科), 阪口 正博(医療法人 彩樹 守口敬任会病院 消化器内科), 築野 美保(医療法人 彩樹 守口敬任会病院 消化器内科), 岡 博史(医療法人 彩樹 守口敬任会病院 外科)
抄録 【はじめに】大腸用のSelf-Expandable Metallic Stent(SEMS)は、2006年の消化器内視鏡ガイドラインに下部消化管のSEMS療法として紹介され、その適応、インフォームド・コンセント、手技等についても記載されていたが、当時は保険適用ではなく、保険適用が待たれていた。2012年1月にWallFlex colonic stentが保険適用となり、我々は12例の大腸癌イレウスに対して留置を行ったのでその治療成績を報告する。【方法】内視鏡はOlympusのCS H260AIを使用。塩酸ペチジン50mg(適宜減量)の前投薬及び送気はCO2を使用。透視下でも狭窄部位が明瞭になるように内視鏡下に狭窄部肛門側に止血用の金属クリップでマーキング。内視鏡下に洗浄チューブ(PW-5V-1, Olympus)を挿入し、X線透視下に狭窄部および口側をガストログラフィンにて造影することでガイドワイヤー挿入時の参考にする。ガイドワイヤーを透視下に狭窄部口側に進める。内視鏡の鉗子孔からステントデリバリーシステムをガイドワイヤーを通して挿入。狭窄部の口側までステントデリバリーシステムを挿入し、ステントを留置。【対象】2011年11月より2012年9月までの12症例。年齢は35歳~83歳(平均65.5歳)。男性8例、女性4例。部位は、上行結腸1例、横行結腸2例、下行結腸2例、S状結腸6例、直腸癌にて低位前方切除術後の吻合部1例。【結果】ステント留置は、12例中12例(100%)に成功。全例とも経口摂取を開始。また、狭窄部の口側の検索を注腸または大腸内視鏡で施行。低位前方切除術後の吻合部再発例は、腫瘍の仙骨への浸潤及び肝転移を認め、横行結腸に人工肛門を造設後に化学放射線療法を開始。1例は治療拒否にて自己退院。残りの10例は、全例に一期的な待機的手術が可能で、縫合不全は認めなかった。7例は腹腔鏡下又は腹腔鏡補助下手術を施行。癌の深達度はSS 8例、SE 2例。進行度は、StageIIが 3例、Stage IIIaが 2例、StageIV が5例。【結語】SEMS留置術は、減圧や患者のQOLが良好であった。大腸用ステントが保険適用となり、経肛門的減圧術はイレウスチューブからSEMSに移行していくと考える。
索引用語 SEMS, 大腸癌イレウス