セッション情報 ワークショップ1「膵疾患診療の最近の進歩」

タイトル W1-12追加発言:

当院における膵仮性嚢胞治療の現状と工夫

演者 坂井 良行(兵庫医科大学 内科学 肝胆膵科)
共同演者 岩田 恵典(兵庫医科大学 内科学 肝胆膵科), 長谷川 国大(兵庫医科大学 内科学 肝胆膵科), 楊 和典(兵庫医科大学 内科学 肝胆膵科), 石井 昭生(兵庫医科大学 内科学 肝胆膵科), 高島 智之(兵庫医科大学 内科学 肝胆膵科), 會澤 信弘(兵庫医科大学 内科学 肝胆膵科), 岩田 一也(兵庫医科大学 内科学 肝胆膵科), 池田 直人(兵庫医科大学 内科学 肝胆膵科), 田中 弘教(兵庫医科大学 内科学 肝胆膵科), 榎本 平之(兵庫医科大学 内科学 肝胆膵科), 齋藤 正紀(兵庫医科大学 内科学 肝胆膵科), 今西 宏安(兵庫医科大学 内科学 肝胆膵科), 飯島 尋子(兵庫医科大学 内科学 肝胆膵科), 西口 修平(兵庫医科大学 内科学 肝胆膵科)
抄録 【目的】当院における膵仮性嚢胞の治療成績ならび安全性について検討し、その治療方法の工夫について報告する。【対象と方法】2007年4月から2012年6月までに当院にて治療を行った膵仮性嚢胞20病変(19症例)を対象とした。内訳は、年齢は36-77歳(平均年齢61.8歳)、男女比は13:6、嚢胞径は28-201mm(平均83.5mm)、占拠部位は膵頭部7病変、膵体尾部13病変であった。【成績】20病変のうち経過観察したのが5病変。嚢胞径は32-140mm(平均68.4mm)、2病変が有症状であったが、すべて保存的治療で嚢胞は縮小した。経乳頭的ドレナージを行ったのは3病変で、嚢胞径は40-60mm(平均50mm)、2病変が有症状であった。いずれもドレナージにて嚢胞の縮小が得られた。超音波内視鏡下ドレナージ(EUS-CD)を行ったのは10病変。嚢胞径は20-142mm(平均84.7mm)、7病変が有症状であった。10病変のうち9病変では、治療後速やかに膵仮性嚢胞の縮小および症状の改善を認めた。このうち2病変に対しては、2 step type の穿刺針を用いて容易にドレナージすることができた。ドレナージのみでは嚢胞の感染コントロールが困難であった1病変については、穿刺部位に対して食道拡張バルーンを用いて拡張術を行った後に、内視鏡necrosectomyを行うことで、嚢胞の縮小が得られた。EUSを使用せず通常直視鏡にて膵嚢胞ドレナージを施行したのは2病変。嚢胞径は201mmと130mmで、2病変ともに有症状であった。1病変は治療後嚢胞サイズの縮小認めたが、経過中に穿刺部位に動脈瘤を形成し嚢胞内出血が見られ、血管造影下のコイル塞栓術にて止血をおこなった。もう1病変は、ドレナージのみでは感染コントロール困難であったため、内視鏡necrosectomyを行うことで、嚢胞の縮小が得られた。【結語】膵仮性嚢胞治療に対する、経乳頭的ドレナージ、経胃的ドレナージは有効な治療法であった。また新しいデバイスの使用や難治症例に対するnecrosectomyは有用な方法と考えられた。
索引用語 膵仮性嚢胞, 治療