セッション情報 一般演題

タイトル 35:

胃十二指腸出血性病変に対しアルゴンプラズマ凝固術 (APC) を施行したOsler-Weber-Rendu病の1例

演者 林 宏樹(三木市立三木市民病院 消化器内科)
共同演者 境 秀樹(三木市立三木市民病院 消化器内科), 家本 孝雄(三木市立三木市民病院 消化器内科), 田中 克英(三木市立三木市民病院 消化器内科), 堀 順子(三木市立三木市民病院 消化器内科), 佐貫 毅(三木市立三木市民病院 消化器内科)
抄録 症例は70歳台女性である。高血圧症で近医に通院していた。以前より鼻出血を繰り返し耳鼻咽喉科に通院していたが、血液検査で貧血を指摘され精査目的に当科を紹介受診した。鉄欠乏性貧血であり消化管精査を行うこととした。下部消化管内視鏡検査では異常を認めなかったが、上部消化管内視鏡検査で胃および十二指腸に多発する毛細血管拡張症を認め、貧血の原因と考えた。治療としてアルゴンプラズマ凝固術 (APC) を施行した。その後も貧血の進行および毛細血管拡張症からの出血があり、必要に応じてAPCを追加施行している。本症例に対し全身を診察したところ胃十二指腸粘膜以外に、皮膚や口腔粘膜にも毛細血管拡張を認めた。また家族歴として実母に同様の鼻出血や皮膚所見を認めていた。反復性の鼻出血、毛細血管拡張病変、内臓の血管異常、家族歴を認め、診断基準の4項目すべてに合致したため、遺伝性毛細血管拡張症 (Osler-Weber-Rendu病) と確定診断した。Osler-Weber-Rendu病は皮膚や粘膜などの毛細血管拡張病変から出血をきたす常染色体優性遺伝の比較的まれな疾患である。本邦報告例では鼻出血以外に肺血管異常や消化管出血が診断の契機になることが多く、消化管の血管性病変の頻度は30~40%とされている。消化管出血に対する治療法としてAPCが第一選択とされることが多いが、根本的な治療法は確立されておらず、再発・出血を繰り返し治療に難渋することが多い。今回、胃十二指腸出血性病変に対しAPCを施行したOsler-Weber-Rendu病の1例を経験したため、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 Osler-Weber-Rendu病, アルゴンプラズマ凝固術 (APC)