共同演者 |
柏木 里織(市立福知山市民病院 消化器内科), 堀田 祐馬(市立福知山市民病院 消化器内科), 藤野 誠司(市立福知山市民病院 内科), 片山 貴之(市立福知山市民病院 消化器内科), 新美 敏久(市立福知山市民病院 消化器内科), 土佐 正俊(市立福知山市民病院 消化器内科), 奥田 隆史(市立福知山市民病院 消化器内科), 小牧 稔之(市立福知山市民病院 消化器内科), 永田 昭博(市立福知山市民病院 病理診断科), 香川 惠造(市立福知山市民病院 消化器内科) |
抄録 |
【症例】50歳代男性.吐血,黒色便を主訴に来院し,上部消化管内視鏡検査にて胃体上部前後壁にKissing ulcerを呈する出血性胃潰瘍を認めた.内視鏡的止血術施行後,PPI投与にて保存的加療を行った.当初良性潰瘍と考えていたが,1か月後の内視鏡検査再検にて潰瘍は改善傾向を認めるものの皺壁のこん棒様の太まりを認め,また後壁側の病変では周堤隆起を伴う粘膜下腫瘍様形態を呈していた.同病変に対して生検を施行したところ,2病変ともからAdenocarcinoma Group5 (por>tub2) を認めた.U, a.w., type3, cT2, cN0, cM0, cStage IならびにU, p.w., type3, cT3, cN0, cM0, cStage IIと診断し,胃全摘出術を施行した.病理所見ではGastric cancer with lymphoid stroma (GCLS )を認め,2病変ともに深達度はMPであった.GCLSではEBウイルス感染が原因となることが知られており,追加で行った免疫染色ではともにEBER陽性であった.術後再発なく,現在外来経過観察中である.【結語】一般に同時多発胃癌は胃体部から前庭部に多く,噴門部や胃体上部領域に病変を認めた場合はEBウイルス関連病変を念頭に置く必要がある.一般的な同時多発胃癌の疫学とEBウイルス関連同時多発胃癌の疫学について文献的考察を加えて報告する. |