セッション情報 一般演題

タイトル 43:

虚血性腸炎に合併した門脈血栓症の1例

演者 塩山 えりか(国保中央病院 内科)
共同演者 上田 重彦(国保中央病院 内科), 吉川 雅章(国保中央病院 内科), 橋本 耕二(国保中央病院 内科), 西浦 亮子(国保中央病院 内科), 今本 江梨(国保中央病院 内科), 北川 洸(国保中央病院 内科), 中谷 聡(国保中央病院 内科)
抄録 【症例】45歳、男性。 【主訴】下腹部痛、下痢、下血。【現病歴】平成24年5月10日午前2時頃から突然の下腹部痛が出現し、その後頻回の下痢と下血がみられるようになったため近医を受診し、当院紹介となった。【現症】血圧150/92mmHg。体温 36.5℃。眼瞼結膜に貧血なし。腹部は平坦・軟で、下腹部に軽度圧痛を認める。【検査所見】WBC 11730/μl、Hb 16.4g/dl、T-Bil 0.9mg/dl、AST 17IU/l、ALT 25IU/l、CRP 0.3mg/dl【画像所見】緊急大腸内視鏡検査で脾弯曲まで観察し、下行結腸からS状結腸にかけて粘膜の浮腫、縦走するびらん、出血を認めた。【経過】虚血性腸炎と考え、絶食・補液にて加療を開始した。5月11日も腹痛が軽度持続し、腹部造影CT検査を施行した。下行結腸からS状結腸にかけて腸管壁肥厚を認めた。また、門脈左右枝分岐部から末梢側に血栓を認めた。虚血性腸炎に起因する門脈血栓と考え、ヘパリン持続投与を開始した。腹痛は徐々に軽快し、14日には血便もみられなくなったため、15日から経口摂取を開始した。17日に腹部造影CT検査を施行したところ、門脈血栓は残存するものの縮小傾向を示し、腸管壁の肥厚は著明に改善していた。大腸内視鏡検査でも粘膜の浮腫・びらんは改善傾向となっていた。ヘパリンをワーファリンに変更し、26日に退院した。退院後の腹部造影CT検査では門脈血栓は完全に消失しており、ワーファリンを中止したが、その後著変を認めていない。【まとめ】今回、我々は虚血性腸炎に合併した門脈血栓症の1例を経験したため、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 虚血性腸炎, 門脈血栓