セッション情報 ワークショップ14(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

患者にやさしい上部消化管内視鏡検査の工夫

タイトル 内W14-14追:

ミダゾラムを使用したoral sedationによる上部消化管内視鏡検査の有用性

演者 山元 隆文(国立療養所星塚敬愛園・消化器内科)
共同演者
抄録 【背景】近年の細径スコープや経鼻内視鏡の開発,普及により,上部消化管内視鏡検査は以前よりストレスの少ない検査といえるが,鎮静希望も多く,鎮静剤の静脈内投与を実施する症例は増えつつあると思われる.しかしながら,鎮静剤の静脈内投与は呼吸循環動態の急激な変化や血管炎、血管痛の発生を引き起こす可能性もあり,さらには血管確保自体が非常に困難な症例もまれではない.一方,他の鎮静手段として鎮静剤の経口投与(oral sedation)も実施され,その臨床的有用性は高いとされる.今回,ミダゾラムを使用したoral sedationによる上部消化管内視鏡検査の有用性につき報告する.【対象と方法】2008年11月から2012年3月までに、上部消化管内視鏡検査時にミダゾラムでのoral sedationを実施した、のべ121例 (男性:62例、女性:59例、平均年齢 65.6歳)を対象とした。検査前にミダゾラム注射用原液を経口的に投与し、呼名反応の低下を確認後、検査を開始した。なお、投与量は年齢、体重などを考慮して調整した。投与前後の呼吸循環動態の変化以外に検査状況,鎮静度及び患者満足度をスコア化して評価した.【結果】全例で重篤な合併症はみられなかった。投与後、SpO2値90%以下の症例は6.7%に、Bp値80mmHg以下の症例は10%にみられたが、いずれも保存的に対応可能であった。鎮静効果は症例で異なるものの,全例で内視鏡検査が完遂可能であった.なお,検査開始まで投与後約18分を要し,検査終了後からの回復時間は73分であった。患者アンケートでは8割以上が次回の検査においてもoral sedationを容認、希望した。また,高齢者においても投与量を調整することで,内視鏡検査が実施可能であった.【結語】ミダゾラムを使用したoral sedationは上部消化管内視鏡検査においても患者満足度が非常に高く、臨床的に有用な鎮静法と思われた。
索引用語 oral sedation, 上部消化管内視鏡検査