セッション情報 一般演題

タイトル 23:

化学放射線療法が著効した後に脳転移が発見された食道癌の一例

演者 三浦 由雄(市立伊丹病院 消化器内科)
共同演者 大内 祥平(市立伊丹病院 消化器内科), 小山 秀和(市立伊丹病院 消化器内科), 山口 典高(市立伊丹病院 消化器内科), 荻山 秀治(市立伊丹病院 消化器内科), 堀木 優志(市立伊丹病院 消化器内科), 佐野村 珠奈(市立伊丹病院 消化器内科), 佐治 雪子(市立伊丹病院 消化器内科), 村山 洋子(市立伊丹病院 消化器内科), 筒井 秀作(市立伊丹病院 消化器内科)
抄録 症例は70歳代男性で、2010年12月に嚥下困難感を主訴に当院を受診された。上部消化管内視鏡検査にて下部食道から胃体上部にかけて全周性の隆起性病変を認め、生検ではsquamous cell carcinomaが認められた。CT検査では所属リンパ節の腫大と腎門部レベルの大動脈周囲リンパ節の腫大を認めたため、stageIVaの食道癌と診断した。化学放射線療法(radiation 60Gy、5-FU 200mg/m2 + CDDP 3mg/m2:day1~5 ×6weeks)を施行後、低用量FP療法(5-FU 200mg/m2 + CDDP 3mg/m2:day1~5 ×6weeks)を1クール追加し、原発巣とリンパ節転移巣の消失が得られ根治と判断した。その後、定期的な上部消化管内視鏡検査、CT、PET-CTにて評価し、再発なく経過していたが、治療開始から22か月後に左片麻痺が出現、頭部MRIにて右前頭葉皮質下に径4cmの転移性脳腫瘍を認めた。脳転移診断時のCTで他臓器への転移は認めず、他院で脳腫瘍切除術を施行した。現在は当院外来にて経過観察中である。食道癌の転移形式としてはリンパ行性が主体であり血行性は少ないとされ、脳転移に関しては諸報告によると1~5%と比較的稀である。また消化器癌の脳転移は通常、肺転移を介して起こるとされ、単独で脳へ転移をきたすことは極めて稀である。今回我々は化学放射線療法が著効した後に単独で脳への転移が発見された稀な一例を経験したので文献的考察を加えて報告する。
索引用語 食道癌, 脳転移