セッション情報 一般演題

タイトル 11:

脂肪腫と鑑別困難であった膵原発高分化型脂肪肉腫の一例

演者 石田 裕美(一般財団法人甲南会 甲南病院 内科)
共同演者 小中 義禎(一般財団法人甲南会 甲南病院 内科), 村田 成正(一般財団法人甲南会 甲南病院 内科), 福永 馨(一般財団法人甲南会 甲南病院 内科), 森田 宗孝(一般財団法人甲南会 甲南病院 内科), 谷 聡(一般財団法人甲南会 甲南病院 内科), 村松 三四郎(一般財団法人甲南会 甲南病院 外科), 森 正夫(一般財団法人甲南会 甲南病院 外科), 塚本 好彦(一般財団法人甲南会 甲南病院 外科), 濱辺 豊(一般財団法人甲南会 甲南病院 外科), 夏山 順子(一般財団法人甲南会 甲南病院 病理診断科), 村尾 眞一(一般財団法人甲南会 甲南病院 病理診断科)
抄録 【症例】70歳台男性【現病歴】当院通院中,7年前の腹部単純CTで膵体部実質内から膵外に及ぶ脂肪性腫瘤が指摘された.脂肪腫を疑ったが,経過観察のCTで緩徐な増大が認められた.【画像所見】CTにおいて腫瘤は,膵体部実質内では5cm弱,膵外では長径10cmを超えおり,薄い被膜に覆われた脂肪濃度腫瘤であり,膵内発生が疑われた.周囲臓器への浸潤はみられなかった.膵外の腫瘤内には索状,微細結節状の軟部組織濃度域が認められ,脂肪肉腫が疑われた.造影CT,MRIでは脂肪腫か脂肪肉腫かの鑑別は困難であった.【経過】膵原発の脂肪性腫瘤は緩徐に増大を認め,画像診断からも高分化型脂肪肉腫が疑われたため,膵体尾部切除および脾摘出術を施行した.腫瘤は膵実質深部の脾動脈根部近くまで及んでいたが,周囲臓器への浸潤は認めなかった.【病理診断】肉眼的には膵体部に黄白色調腫瘤を認め,表面は平滑,周囲との癒着は認められなかった.割面は黄白色均一で充実性,膵実質と連続していた.病理組織像は,成熟脂肪細胞に分化する組織で核異型は乏しかった.膵実質内の病変は成熟脂肪細胞と膠原線維を伴った線維組織からなり,膵実質は著しく萎縮していた.p16,CDK4免疫染色の結果,腫瘍組織はそれぞれ陽性を示した.膵原発の高分化型脂肪肉腫と診断した.【考察】膵原発の脂肪肉腫は極めてまれな疾患であり,今回脂肪腫との鑑別が困難で,免疫染色にて診断しえた症例を報告する.
索引用語 膵脂肪肉腫, 緩徐に増大