セッション情報 一般演題

タイトル 60:

腹腔内出血を繰り返した肝類上皮血管内皮腫の一例

演者 印藤 直彦(淀川キリスト教病院 消化器センター消化器内科)
共同演者 吉中 勇人(淀川キリスト教病院 消化器センター消化器内科), 居軒 和也(淀川キリスト教病院 消化器センター消化器内科), 三浦 翔(淀川キリスト教病院 消化器センター消化器内科), 佐々木 翔(淀川キリスト教病院 消化器センター消化器内科), 八木 洋輔(淀川キリスト教病院 消化器センター消化器内科), 片岡 純子(淀川キリスト教病院 消化器センター消化器内科), 末吉 伸行(淀川キリスト教病院 消化器センター消化器内科), 矢野 雄飛(淀川キリスト教病院 消化器センター消化器内科), 山岡 優子(淀川キリスト教病院 消化器センター消化器内科), 廣吉 康秀(淀川キリスト教病院 消化器センター消化器内科), 阿南 隆洋(淀川キリスト教病院 消化器センター消化器内科), 阿南 会美(淀川キリスト教病院 消化器センター消化器内科), 松井 佐織(淀川キリスト教病院 消化器センター消化器内科), 菅原 悦子(淀川キリスト教病院 消化器センター消化器内科), 渡辺 明彦(淀川キリスト教病院 消化器センター消化器内科), 菅原 淳(淀川キリスト教病院 消化器センター消化器内科), 向井 秀一(淀川キリスト教病院 消化器センター消化器内科), 土田 忍(淀川キリスト教病院 外科), 豊川 晃弘(淀川キリスト教病院 外科), 寺村 一裕(淀川キリスト教病院 病理診断科)
抄録 症例は60代男性。腹痛にて近医を受診、エコーにて腹水と腹腔内腫瘤を認めたため精査加療目的に当科に紹介入院となった。造影CTにて周囲液貯留を伴った、肝S6より肝外に突出する腫瘤を認めた。肝腫瘤の破裂と診断し同日TAEにて止血を得た。肝血管腫の破裂と診断し手術適応と考え、当院外科にて待機的手術の方針となり一旦退院とした。しかし外来待機中に腹部膨満感、動悸が出現しHb6.7g/dlと貧血著明であり、CTでも出血を疑う腹水を認めた。再破裂と判断し再度緊急でTAEを施行。リピオドールにて止血を行ったが、5日後に再出血をきたし、リピオドールとヒストアクリルにて止血を得て、待機的に手術を行った。術中の所見としては肝外に突出する腫瘍は胆嚢、横行結腸と強固に癒着しており、後腹膜に小結節を認めた。小結節の術中迅速診断では悪性所見はなく、肝後区域切除術、胆嚢摘出術、右半結腸切除術を施行した。病理組織所見では大小の異型血管の増殖と異型内皮細胞の増殖を認めており、異型細胞はCD31、CD34陽性であった。小結節についても核に異型を伴うCD31陽性内皮細胞を認めた。以上より肝類上皮血管内皮腫の胆嚢、横行結腸浸潤、腹膜播種と診断した。術後経過は良好で現在化学療法を行っている。肝類上皮血管内皮腫は非常に稀な疾患であるが、症状としては腹痛や違和感等の報告が多く、無症状例も4割を占めるとされる。今回我々は腫瘍破裂を契機に発見され、診断に至った肝類上皮血管内皮腫の一例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 類上皮血管内皮腫, 破裂