セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年目迄)

タイトル Y4-3:

小腸腫瘍として鑑別に難渋した空腸異所性膵癌の一例

演者 小川 智(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科)
共同演者 福島 政司(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 北本 博規(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 高島 健司(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 増尾 謙志(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 松本 知訓(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 佐竹 悠良(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 和田 将弥(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 占野 尚人(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 井上 聡子(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 鄭 浩柄(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 藤田 幹夫(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 杉之下 与志樹(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 岡田 明彦(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 猪熊 哲朗(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 岡田 和幸(神戸市立医療センター中央市民病院 外科), 三木 明(神戸市立医療センター中央市民病院 外科), 市川 千宙(神戸市立医療センター中央市民病院 臨床病理部), 今井 幸弘(神戸市立医療センター中央市民病院 臨床病理部)
抄録 【症例】70歳、男性
【主訴】特訴なし(CA19-9高値)
【既往歴】高血圧、前立腺肥大、椎間板ヘルニア、十二指腸潰瘍
【現病歴】2012/1/6 検診でCA19-9 82.4 U/mlと上昇を認め、精査目的で腹部造影CT施行するも明らかな異常所見なく経過観察となった。その後CA19-9 149.8 U/mlとさらなる上昇を認めため4/13にMRCPを施行し、小腸腫瘍を指摘された。4/19 精査目的で当科紹介となった。
【経過】小腸内視鏡検査を施行するも管腔内には明らかな腫瘍性病変は認めず、病理学的検査を施行することは出来なかった。GIST・リンパ腫などの粘膜下小腸腫瘍が示唆されたが、画像検査所見からは悪性腫瘍の可能性が否定出来なかった。またCA19-9が漸増している経過から異所性膵癌の可能性を考慮し、外科的切除術を施行する方針となった。5/24に開腹小腸切除術を施行。開腹時、空腸壁在性に充実性腫瘤があり、空腸第1動脈周囲リンパ節の軽度腫大も認めた。病理学的検査の結果、導管・腺房・ランゲルハンス島を粘膜下から漿膜下脂肪織内に認め、異所性膵と考えられた。また、これに近接して癒合傾向の強い腺管の増生があり、高分化型管状腺癌の部分を認め、Heinlich I型の空腸異所性膵癌の診断に至った。術後CA19-9は正常化し、現在は塩酸ゲムシタビンを用いて術後補助化学療法を施行し、再発なく経過観察中である。
【考察】CA19-9高値を契機に発見された空腸異所性膵癌を経験した。小腸腫瘍として診断に難渋したが、精査の結果手術を施行して早期に切除することが出来た。空腸の異所性膵癌はまれであるため診断が難しく、また興味深い症例と考えられるため若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 小腸腫瘍, 異所性膵癌