セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年目迄)

タイトル Y2-8:

盲腸LST-Gに起因する成人腸重積の1例と成人腸重積の治療方針の検討

演者 鈴鹿 真理(市立枚方市民病院)
共同演者 扇谷 大輔(市立枚方市民病院), 奥田 篤(市立枚方市民病院), 井口 宗威(市立枚方市民病院), 中平 博子(市立枚方市民病院), 藤原 新也(市立枚方市民病院), 本合 泰(市立枚方市民病院), 今井 義朗(市立枚方市民病院 消化器外科), 井上 仁(市立枚方市民病院 消化器外科), 菅 敬治(市立枚方市民病院 消化器外科), 木下 隆(市立枚方市民病院 消化器外科), 森田 眞照(市立枚方市民病院 消化器外科), 阿部 洋介(大阪医科大学第2内科), 井上 拓哉(大阪医科大学第2内科), 梅垣 英治(大阪医科大学第2内科), 樋口 和秀(大阪医科大学第2内科)
抄録 【症例】80歳代女性【主訴】腹痛、嘔吐、下血【既往歴】高血圧症【現病歴】就寝中に心窩部痛で覚醒し、その後胃液を嘔吐した。近医で点滴を受けるも腹痛が改善せず、イチゴゼリー様の粘血便が出現したため紹介入院となった。【入院後経過】身体所見では右季肋部に圧痛はあるが、筋性防御は伴わなかった。血液検査ではWBC 17230/μl、CRP6.9mg/dlと炎症反応上昇があったが、貧血及び肝・腎機能障害は認めなかった。腹部超音波検査では圧痛部にmultiple concentric ring signを描出した。カラードップラでは腸管血流が確認可能であった。CT検査でも腸重積が疑われたが、腸管の造影効果は良好で、腹水も認められなかった。以上から回盲部から小腸に起因する腸重積と考え、診断・整復目的で注腸検査を施行したところ、盲腸部に隆起性病変を認めた。整復後9日目に大腸内視鏡検査を施行し、盲腸部LST-G(cancer in adenoma)と診断した。盲腸底部を占拠する病変のため腹腔鏡下回盲部切除+D2郭清が施行された。摘出標本ではadenomaと診断され、リンパ節転移も認められなかった。【考察】成人腸重積は小児に比べて稀な疾患であり、原因に悪性腫瘍が関係する場合が多いとされている。そのため成人の腸重積に対しての整復術は悪性腫瘍の腹膜播種を危惧する文献が見られる。一方、悪性腫瘍の可能性があるが故に、しっかりとした術前検査を必要とする文献もある。今回経験した症例は下血があるものの、カラードップラUSや造影CTで腸管の虚血はなく腹水も認められなかった。その為、注腸での整復術を試み、成功したため、大腸内視鏡検査などの術前検査が可能となった。そして、原因病変を正確に診断した後、病変に適した手術が施行できたと考える。【結語】盲腸LST-Gに起因する成人腸重積の1例を経験した。成人腸重積であっても腸管の虚血と腹水のない症例では注腸整復することで、起因病変の術前診断が可能となり正確な治療方針の決定ができると思われる。
索引用語 LST-G, 成人腸重積