セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル F2-1:

回腸末端憩室穿通の1例

演者 吉田  愛(国立病院機構 神戸医療センター 外科)
共同演者 田中 智子(国立病院機構 神戸医療センター 外科), 高見 柚賀子(国立病院機構 神戸医療センター 外科), 賀来 佳子(国立病院機構 神戸医療センター 外科), 横山 邦雄(国立病院機構 神戸医療センター 外科), 文 宣貴(国立病院機構 神戸医療センター 外科), 平田 建郎(国立病院機構 神戸医療センター 外科), 光辻 理顕(国立病院機構 神戸医療センター 外科), 岩崎 武(国立病院機構 神戸医療センター 外科), 島田 悦司(国立病院機構 神戸医療センター 外科)
抄録 回腸末端憩室穿通により多発骨盤内膿瘍をきたした1例を経験したので報告する。【症例】71歳男性。2012年9月、夜間に腹部全体に広がる腹痛を認めた。腹痛は徐々に増悪,翌日には嘔気出現し近医受診した。血液検査所見はWBC7100/ml、CRP15.9mg/dl、腹部CT検査にて回盲部の脂肪織濃度上昇を認め、憩室炎が疑われたため入院の上、絶食、抗生剤治療開始された。入院5日目でWBC7400/ml、CRP20.08mg/dlと改善認めず、精査加療目的で転院となった。入院時身体所見では、発熱なく、右下腹部に限局する圧痛を認めるものの腹膜刺激症状はなかった。腹部CT検査で回盲部の脂肪織濃度上昇、腸間膜内のair像、右腸骨窩から膀胱直腸窩に連続する膿瘍を多数認めた。虫垂は正常であった。抗生剤投与継続にてWBC6000/ml、CRP1.84と改善認めたものの膿瘍は多発しているためCTガイド下ドレナージは不可能と判断し手術を施行。手術所見では、膀胱直腸窩に被覆された膿瘍を認め、回盲部の腸管の浮腫性肥厚と回腸末端の腸間膜内に炎症性腫瘤を認めたため、回盲部切除を施行した。虫垂は正常であった。切除標本ではBauhin弁から口側約2.5cmの回腸末端に3ケ所の憩室を認め、そのうち1ケ所が腸間膜内の炎症腫瘤と交通しており穿通を来していた。【考察】小腸憩室は稀な疾患で空腸に多くみられ回腸に認められるのは20%と少ない。右下腹部痛をきたす疾患として稀ながらも診断に挙げるべきと考えられた。
索引用語 回腸末端憩室, 回腸末端憩室穿通