セッション情報 |
ワークショップ2「食道癌の集約的治療の新たな展開」
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タイトル |
W2-3:食道癌化学放射線療法(CRT)後の救済治療としての新規PDTに関する第I/II相試験
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演者 |
櫛田 早絵子(兵庫県立がんセンター 消化器内科) |
共同演者 |
西崎 朗(兵庫県立がんセンター 消化器内科), 武藤 学(京都大学 腫瘍薬物治療学講座) |
抄録 |
【背景】食道癌CRT後の遺残再発に対する救済手術は治療関連死が10%前後に発生するリスクの高い治療である。局所の救済治療におけるフォトフリンPDTの応用は, 低侵襲で高い完全奏効(CR)率が得られると報告されるが、使用するエキシマダイレーザが製造中止となり今後使用できない状況にある。一方、タラポルフィンナトリウムと半導体レーザを用いた新規PDTは早期肺癌でのみ適応があり食道における安全性と有効性は不明である。【目的】食道癌CRT後の救済治療としての新規PDTの推奨レーザ照射量と有効性と安全性を検討する(UMIN000003970)。【対象及び方法】第I/II相試験ともに対象は、50Gy以上の放射線単独またはCRTを施行され、原発巣に遺残再発が認められた症例。遺残病変の壁深達度は固有筋層まで。タラポルフィンナトリウム20mg/kg投与後4-6時間後に半導体レーザ照射を行った。第I相試験における半導体レーザの照射エネルギーは、レベル1:50J/cm2、レベル2:75J/cm2、レベル3:100J/cm2の3段階(各3例)に増量する3例コホート法で推奨用量を推定した。用量制限毒性(DLT)は、モルヒネを必要とする4日以上の疼痛、CTCAE ver4 のGrade 2以上の発熱4日以上、外科処置またはTPNを要する食道瘻・狭窄、輸血/IVR/外科的処置を要する食道出血。第II相部分では推奨レーザ照射量でのCR割合を主要評価項目、安全性、全生存割合、無増悪生存割合を副次的評価項目にした。【結果】第I相:計9例登録(全例男性、年齢中央値:72歳)。レベル1~3のいずれにおいてもDLTは発現せず、推奨レーザ照射量は100J/cm2に決定された。第II相:計10例(男性9例、女性1例、年齢中央値:73歳)登録。第I相の推奨レーザ照射量での治療例3例を含む計13例におけるCR割合は、7/13(53.8%)であった。全19例に日光過敏症や重篤な有害事象を認めなかった。【結語】タラポルフィンナトリウムと半導体レーザを用いた新規PDTの食道癌CRT後救済治療における推奨レーザ照射量は100J/cm2とされ、高い根治性と安全面の容認性が確認された。今後新たな治療選択肢になると期待される。 |
索引用語 |
光線化学療法, 救済治療 |