セッション情報 ワークショップ1「膵疾患診療の最近の進歩」

タイトル W1-1:

膵腫瘤性病変に対するFDG-PET/CTの有用性

演者 河田 奈都子(大阪府立成人病センター 肝胆膵内科)
共同演者 上原 宏之(大阪府立成人病センター 肝胆膵内科), 冨田 裕彦(大阪府立成人病センター 病理細胞診断科), 高見 元敞(森之宮クリニック PET画像診断センター)
抄録 【緒言】膵腫瘤性病変に対するFDG-PET/CT(以下PET)の有用性を検討する。【方法】対象は治療前にPETを行った膵腫瘤性病変の連続症例。PET撮影はFDG注入から1時間後を早期相、2時間後を後期相とした。撮影時の血糖値が130mg/dl以上の症例は除外した。1)SUVmaxの経時的変化を考慮するdual time point法の良悪性鑑別における診断成績2)膵管癌におけるSUVmaxと腫瘍径との相関3)TS1膵管癌における各種画像、細胞診、腫瘍マーカーの診断成績の比較【結果】全95例の平均年齢は64±9.6歳、男女比は60:35、内訳は良性23例(腫瘤形成性膵炎18例、SCN3例、AIP2例)、悪性72例(膵管癌69例、NEC2例、腺房細胞癌1例)であった。膵管癌はTS1/TS2/TS3-4が24/37/8例、病期I-III/IVa/ IVbが14/34/21例、切除/非切除が32/37例であった。1)早期相のSUVmaxが2.5以上を陽性とした場合、PETの良悪性鑑別における診断成績は感度/特異度/PPV/NPV/正診率は各々82/70/89/55/79%であった。早期相のSUVmaxが2.5以上、または早期相と比べて後期相のSUVmaxが上昇した場合を陽性とした場合(但し、後期相ではFDG集積が明瞭となるSUVmax 2.1以上に上昇したことを要する)、PETの良悪性鑑別における診断成績は感度/特異度/PPV/NPV/正診率は各々96/65/90/83/88%であった。2) 膵管癌においてSUVmaxと腫瘍径には正の相関があり(r=0.256、p=0.035)、早期相のSUVmaxが2.5以上であったのはTS1/TS2/TS3-4で各々58/95/100%であった。3)TS1膵管癌の腫瘤描出率はUS100%(17/17)、CT92%(22/24)であった。上記のdual time point法によるPET陽性率は92%(22/24)、細胞診陽性率は92%(22/24)、CA19-9上昇率(=37U/ml以上)は67%(16/24)であった。【まとめ】Dual time point法は膵腫瘤性病変の良悪性の鑑別において有用であった。
索引用語 FDG-PET/CT, 膵腫瘤