セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年目迄)

タイトル Y4-4:

診断に難渋した小腸明細胞肉腫の一例

演者 吉田 裕幸(西神戸医療センター 消化器内科)
共同演者 沖重 有香(西神戸医療センター 消化器内科), 荒木 理(西神戸医療センター 消化器内科), 村上 坤太郎(西神戸医療センター 消化器内科), 佐々木 綾香(西神戸医療センター 消化器内科), 津田 朋広(西神戸医療センター 消化器内科), 安達 神奈(西神戸医療センター 消化器内科), 島田 友香里(西神戸医療センター 消化器内科), 林 幹人(西神戸医療センター 消化器内科), 井谷 智尚(西神戸医療センター 消化器内科), 三村 純(西神戸医療センター 消化器内科), 石原 美佐(西神戸医療センター 病理科), 橋本 公夫(西神戸医療センター 病理科)
抄録 【症例】40歳代、女性【主訴】発熱、貧血【既往歴】特記すべき事項なし【現病歴】2012年3月上旬より発熱あり、3月中旬にタール便を1回認めた。前医にて高度の貧血を指摘され、精査のため上下部消化管内視鏡検査を施行されたが、特記すべき所見を認めなかった。その後、腹部単純CTで骨盤内に腫瘤を認めたため卵巣腫瘍を疑われたが、腹部MRIでは腫瘍と子宮、卵巣との連続性は見られず、腸間膜由来の腫瘍と考えられたため精査加療目的で入院となった。【経過】入院時に発熱・炎症反応上昇を認めたため抗生剤にて炎症が改善した後、4/9に外科手術を施行した。回腸漿膜側を主座とする径6cm程度の腫瘤を認め、S状結腸への浸潤と腹膜播種を疑う褐色の結節を認めたため、回腸部分切除にS状結腸部分切除と左卵巣切除を追加した。【病理検査所見】割面は白色部と褐色部の混在した充実性腫瘤であり、一部では境界明瞭であるが、剥離面などに境界不明瞭な部位が見られる。回腸漿膜側から粘膜下層まで広がる腫瘍を認め、明るい核と明瞭な核小体を有する類円形~短紡錘形の腫瘍細胞が胞巣状に増殖している。S状結腸漿膜側の播種を疑われた病変にも同様の腫瘍細胞が認められた。細胞形態から肉腫と考えられたが、通常の免疫染色では確定診断に至らなかった。追加の免疫染色を繰り返し行い、最終的にはSOX10がびまん性に陽性であり、FISHにてEWSR1 split signalが50%以上陽性となったことから、明細胞肉腫と診断した。【結語】今回我々は非常に稀な腸間膜由来の明細胞肉腫の一例を経験したため、文献的考察を加えて報告する。
索引用語 明細胞肉腫, 小腸腫瘍