セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年目迄)

タイトル Y5-2:

IFN-α中和抗体によりPEG-IFN-α2a治療が無効であったgenotype2a型慢性C型肝炎の一例

演者 米倉 伸彦(滋賀医科大学 消化器内科)
共同演者 塩谷 淳(滋賀医科大学 消化器内科), 神田 暁博(滋賀医科大学 消化器内科), 大崎 理英(滋賀医科大学 消化器内科), 伴  宏充(滋賀医科大学 消化器内科), 稲富 理(滋賀医科大学 消化器内科), 馬場 重樹(滋賀医科大学 消化器内科), 安藤  朗(同 大学院医学系研究科(高次調節系専攻)感染応答・免疫調節部門), 西口 修平(兵庫医科大学 内科学 肝・胆・膵科), 藤山  佳秀(滋賀医科大学 消化器内科)
抄録 【症例】55歳女性【主訴】genotype2a型慢性C型肝炎の加療目的【現病歴】1993年、慢性C型肝炎(genotype 2a)に対して週3回のIFN-α治療を24週受け、経過中(12週)に一度HCV-RNA陰性化なるもSVR(sustained virological response)には至らなかった。2011年、PEG-IFN-α2aの週1回投与を開始するも、12週後に開始前よりHCV-RNA量が増加したため、PEG-IFN-α2aは無効と考えられ、2012年2月に加療目的に当科紹介受診となった。【入院時検査所見】血小板数のみ9.7万と低下しているが、ヘモグロビンと白血球の低下は認めない。肝酵素・胆道系酵素・腎機能に異常は認めない。HCV-RNA:5.1LOG IU/ml 肝生検は新犬山分類にてchronic hepatitis A2 F1【入院後経過】IFN-αに抵抗性の原因としてIFNに対する中和抗体の産生を疑い、兵庫医科大学内科学 肝・胆・膵科に依頼しSindbis virusを用いたBioassay法にて測定したところ、抗IFN-α2aと-α2bに対する抗体がともに陽性、IFN-βに対する抗体は陰性であった。INF-β+リバビリン併用療法を開始としたところ、投与開始1週間後にはHCV-RNAが検出感度以下となり、投与終了後12週経過でHCV-RNA陰性を継続している。報告では抗IFN抗体の発現頻度は抗IFN-α2aは4.1%、抗IFN-α2bは1.5%である。また、抗IFN-α抗体の出現時期は投与開始から約1ヶ月~6ヶ月の間であり、抗体は通常持続するが、一過性の場合もある。本症例では初回のIFN-α治療開始12週~24週までの間に産生されたと推測される。【結語】PEG-IFN-αで無効、IFN-βで有効であったgenotype2a型慢性C型肝炎の一例を経験した。IFN投与途中でHCV-RNAの再上昇を認める場合や減少が認められない場合、抗IFN-α抗体の存在を疑うべきと考えられた。
索引用語 IFN-α中和抗体, C型肝炎