セッション情報 ワークショップ2「食道癌の集約的治療の新たな展開」

タイトル W2-6:

当院における後期高齢者食道癌の内科的及び外科的治療の展開

演者 池田 篤紀(神戸大学 医学部 消化器内科)
共同演者 奥野 達哉(神戸大学 医学部 消化器内科), 坂井 文(神戸大学 医学部 消化器内科), 吉崎 哲也(神戸大学 医学部 消化器内科), 藤島 佳未(神戸大学 医学部 消化器内科), 森田 圭紀(神戸大学 医学部 消化器内科), 今西 達也(神戸大学 医学部 食道胃腸外科), 中村 哲(神戸大学 医学部 食道胃腸外科), 西村 英輝(神戸大学 医学部 放射線腫瘍科), 豊永 高史(神戸大学 医学部 消化器内科), 掛地 吉弘(神戸大学 医学部 食道胃腸外科), 東 健(神戸大学 医学部 消化器内科)
抄録 【目的】進行食道癌の治療は手術・化学療法・放射線療法を単独または組み合わせで選択される。我々は75歳以上高齢者での内科的治療群(化学放射線治療CRT又は放射線RT)と外科切除群(NAC含む)の成績を後方視的に検討した。【方法】2000年1月から2011年1月までに当院でcStage2、3(nonT4)と診断した75歳以上患者で根治的CRT又はRTを施行した群34例(CRT 21例、RT単独13例)と、外科切除群31例を対象とした。【成績】CRT群の年齢中央値は76歳(75-87)、PS0-1/2:19/2、stageは2/3: 10/11(観察期間中央値2099日)、RT群の年齢中央値は83歳(75-90)、PS0-1/2:8/5、stageは2/3:10/3(観察期間中央値2012日)。CRTプロトコ-ル完遂率は80.9%、CR率52.3%。またRT群のCR率38.4%。治療関連死はCRT群で9.5%(早期障害死1例、晩期障害死1例)、RT群で7.6%(晩期障害死1例)とCRT群にやや多かった。局所遺残および再発率はCRT群8例(38%)、RT群9例(69.2%)で、再発原病死はCRT群10例(47.6%)、RT群7例(53.4%)と、CRT群と比してRT単独群に多くみられた。他病死はCRT群3例(14.2%)、RT群1例(7.6%)で、3生率はCRT群42.9%、RT群38.5%で長期予後に統計学的な差は認めなかった(ログランク検定p値0.54)。一方、外科切除群は年齢中央値76歳(75-82)で全例PS0-1、stageは2/3:18/13(観察期間中央値2280日)。術前化学療法(NAC)施行例は16例(51.6%)であり、そのうちNAC(FP2コース)完遂割合は9例(29%)。R0手術26例(83.8%)であった。再発原病死を9例(29%)、手術関連死を1例(3.2%)に認め、手術合併症として肺合併症13例(41.9%)、縫合不全4例(12.9%)に認めた。他病死は4例(12.9%)に認め、3生率は60.2%であった。長期予後(3生率)では外科切除群が統計学的有意にCRT群よりも良好であった。(ログランク検定p値0.04)【結論】後期高齢食道癌においても標準治療の手術は長期予後に優れていたがPS良好例が多かった。一方CRTとRTでの長期予後に差はみられなかったが、局所遺残または再発率はCRTの方が少ない傾向にあった。各治療の適応は患者意思、PSや合併症を考慮し慎重に選択する必要がある。
索引用語 食道癌, 後期高齢者