セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年目迄)

タイトル Y3-3:

関節リウマチに合併したサイトメガロ感染症の1例

演者 中丸 洸(関西医大 3内科)
共同演者 深田 憲将(関西医大 3内科), 伊藤 嵩志(関西医大 3内科), 田本 麻美子(関西医大 3内科), 堀 雄一(関西医大 3内科), 吉井 將哲(関西医大 3内科), 村上 浩一(関西医大 3内科), 安藤 祐吾(関西医大 3内科), 川股 聖二(関西医大 3内科), 松下 光伸(関西医大 3内科), 岡崎 和一(関西医大 3内科)
抄録 症例は40歳代女性。近医で関節リウマチに対してメトトレキセート、タクロリムスによる治療中に粘血便、腹痛が出現した。大腸内視鏡検査で地図状潰瘍を認め精査加療目的で当院紹介となる。当院で行った大腸内視鏡検査時の組織中サイトメガロウイルス(CMV)‐PCRが陽性でありCMV腸炎と診断し入院加療を勧めたが、患者の事情により治療を延期した。3週間後に消化器症状の増悪及び発熱、血球減少(WBC600/μl、Hb7.6g/dl)を認め全身状態不良のため緊急入院となる。汎血球減少は骨髄穿刺の結果、CMV感染や薬剤性などによるものが考えられた。ガンシクロビルの副作用として血球減少があり、入院当初はG-CSF投与を中心とした血球回復を主体とした治療を行った。その後全身状態は改善傾向にあったが、入院第14病日の大腸内視鏡検査では著明な浮腫と深ぼれ潰瘍を呈しておりCMV腸炎の重症化を確認した。白血球数は改善傾向であったので、ガンシクロビル投与による治療を開始した。第26病日の大腸内視鏡検査で潰瘍は改善傾向にあったが、深ぼれ潰瘍は残存しておりガンシクロビルの半量投与を継続した。その後は下痢などの消化器症状は改善を認め、第59病日の大腸内視鏡検査で一部小さな潰瘍を残すものの深ぼれ潰瘍は瘢痕化を認めたためガンシクロビル投与を終了し退院となった。免疫調整薬内服など易感染性者では潜伏感染していたCMVが再活性化し様々な病態を惹起し、適切な治療が遅れると重症化しやすい。CMV腸炎から全身CMV感染症を来した1例を経験したので分献的考察も含め報告する。
索引用語 サイトメガロウイルス, 免疫調節薬