セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年目迄)

タイトル Y3-1:

小腸から直腸まで非連続性に膜様狭窄を呈し診断に苦慮したNSAID起因性腸管障害の一例

演者 池田 敦史(三田市民病院 消化器科)
共同演者 小野寺 建介(三田市民病院 消化器科), 堂垣 美樹(三田市民病院 消化器科), 菅 もも子(三田市民病院 消化器科), 畑中 宏史(三田市民病院 消化器科), 田中 秀憲(三田市民病院 消化器科), 脇 信也(三田市民病院 消化器科), 中村 晃(三田市民病院 消化器科), 木崎 智彦(三田市民病院 病理部)
抄録 症例は73歳男性、主訴は粘液便。2010年8月下部消化管内視鏡(CS)施行。非特異的なアフタ性腸炎、放射線性腸炎と診断され経過観察となっていた。 2011年10月貧血、便潜血陽性あり近医より紹介。CSにて直腸~横行結腸にかけて輪状潰瘍、狭窄を認め、通過不能であった。 洗浄液、組織培養、生検でも結核を示唆する所見は認めなかった。メサラジン内服し、経過観察中12月より腹満感出現、腹部X線上イレウスを疑い緊急入院となった。絶食にて症状は改善し、腹部造影CT、CSを再検するも前回所見と変化なく、メサラジンは無効と判断し中止した。ジクロフェナクの影響も考え入院後より中止し退院した。平成24年1月中旬再度イレウスにて入院しイレウス管挿入。造影にて膜様狭窄を認めた。そのため2012年1月に横行結腸から上行結腸にかけて計3ヶ所の狭窄に対しバルーン拡張を行い回盲部まで到達可能となった。上行結腸にも輪状潰瘍を認めたがバウヒン弁周囲には病変を認めなかった。再度イレウス症状きたしたため2月に開腹手術を行った。術中小腸内視鏡にて下部回腸に多数の輪状潰瘍、膜様狭窄を認め外科的に下部回腸切除術を行った。病理結果ではアポトーシス小体の出現を認めNSAIDs関連腸炎に伴う輪状潰瘍が示唆された。加えて軽度の小静脈の壁肥厚、内腔狭窄と血管周囲への弾性線維の増生を認め腸間膜静脈硬化症に類似した所見を認めた。術後経過良好であり、現在臨床的、内視鏡的再発を認めていない。
索引用語 NSAIDs, 輪状潰瘍