セッション情報 一般演題

タイトル 6:

膵仮性嚢胞破裂により縦隔炎をきたしたアルコール性慢性膵炎の1例

演者 平山 貴視(神戸赤十字病院 消化器内科)
共同演者 松島 幸慧(神戸赤十字病院 消化器内科), 具 潤亜(神戸赤十字病院 消化器内科), 迫 智也(神戸赤十字病院 消化器内科), 東内 雄亮(神戸赤十字病院 消化器内科), 大塚 祟史(神戸赤十字病院 消化器内科), 生方 綾史(神戸赤十字病院 消化器内科), 横山 祐二(神戸赤十字病院 消化器内科), 黒田 浩平(神戸赤十字病院 消化器内科), 白坂 大輔(神戸赤十字病院 消化器内科), 藤井 正俊(神戸赤十字病院 消化器内科)
抄録  膵仮性嚢胞は、急性膵炎や慢性膵炎の経過の中でしばしばみられ、感染や出血などの合併症をきたした場合、治療に難渋する疾患である。成因別にみると、アルコール性慢性膵炎のほうが、膵仮性嚢胞の合併率が有意に高い。発生後6 週間を超えた場合、自然消退は期待できず、合併症発生率も高いとされている。今回我々は、膵仮性嚢胞破裂により急性縦隔炎、急性肺炎をきたした、アルコール性慢性膵炎の症例を経験したので報告する。【症例】は40代男性 【主訴】背部痛 【既往歴】高血圧症 【現病歴】2011年8月に急性アルコール性膵炎を発症、頭部と体部にそれぞれ15mmと27mmの膵仮性嚢胞を認めたが、保存的加療にて軽快した。2011年11月、背部痛、発熱にて救急外来を受診、CTにて以前体部に指摘されていた膵仮性嚢胞が不明瞭化し、胃背側から大動脈弓レベルまでの縦隔内に上行性に脂肪濃度上昇と軟部陰影が連続する所見を認めた。両側胸水、右肺下葉での気管支血管束の肥厚と肺野のスリガラス陰影を認めたため、膵仮性嚢胞が破裂し、後腹膜、縦隔、胸膜、肺へと炎症が広がったものと判断した。【経過】絶食、蛋白分解酵素阻害薬の点滴などで症状は改善したが、その後も何度も急性増悪を認めた。最終的には、脾静脈閉塞、胃静脈瘤も認めたことから、膵体尾部脾臓合併切除術を行った。【考察】膵仮性嚢胞は、腹腔内への破裂、消化管や肝臓や脾臓などの周囲臓器への穿通が報告されており、治療に難渋することがある。今回、膵仮性嚢胞が破裂し、後腹膜、縦隔、肺に炎症が波及した症例を経験したので報告する。
索引用語 慢性膵炎, 膵仮性嚢胞