セッション情報 シンポジウム1「消化器診療におけるイノベーション」

タイトル S1-1:

彎曲喉頭鏡を用いた咽頭ESDの有用性

演者 戸祭 直也(京都第一赤十字病院 消化器内科)
共同演者 松井 雅裕(京都第一赤十字病院 耳鼻咽喉科), 鈴木 隆裕(京都第一赤十字病院 消化器内科), 吉田 憲正(京都第一赤十字病院 消化器内科)
抄録 【目的】中下咽頭領域の腫瘍が、NBI内視鏡の出現で、表在癌として発見されるようになった。当科においては咽頭腫瘍に対し、2009年7月に咽頭ESDを導入し、現在までに10病変に対し施行した。前半の4病変においては、従来からある直達喉頭鏡を用いていたが、後半の6病変に対しては彎曲喉頭鏡を新たに導入することで、より良好な視野の元に手術を行えるようになった。その有用性につき検証したい。【方法】2009年7月から2012年1月までの当科および耳鼻咽喉科の共同で施行された中下咽頭腫瘍ESD症例の10例。全身麻酔下で、切除は主として消化器内視鏡医が行い、視野展開および鉗子による補助、術後管理は耳鼻咽喉科医が行った。【結果】10例は、60~78歳、男性9例、女性1例、平均70.9歳であった。病変部位は下咽頭後壁3例、梨状陥凹3例、披裂3例、中咽頭1例であった。最終病理結果は、扁平上皮癌6例、異型上皮3例、炎症1例であった。彎曲喉頭鏡導入後は、扁平上皮癌4例、異型上皮2例に対し施行した。【考察】中下咽頭領域の表在癌に対するESDによる治療は、近年、新たなる機能温存、低侵襲手術として報告がみられるようになった。咽頭ESDは、食道ESDに準じて行うが、その際には良好な視野展開とワーキングスペースの確保、時には耳鼻咽喉科医による鉗子での病変把持が手技上のポイントである。これまで、従来の直達喉頭鏡では、良好な視野の確保が難しかったが、彎曲喉頭鏡を用いることで特に下咽頭の視野は格段に良くなり、切除の際の術者のストレス軽減、時間短縮に寄与するものと考えられた。【結語】咽頭ESDは、患者のQOL向上に大きく寄与する可能性が期待されており、その手技において彎曲喉頭鏡の導入は、手技の効率化、標準化に寄与すると考えられる。
索引用語 咽頭腫瘍, 彎曲喉頭鏡