セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年目迄)

タイトル Y1-5:

胃ポリープの癌化を認めた若年性ポリポーシス症候群の1例

演者 向井 理英子(京都府立医科大学 大学院医学研究科 消化器内科)
共同演者 小西 英幸(京都府立医科大学 大学院医学研究科 消化器内科), 尾藤 展克(京都府立医科大学 大学院医学研究科 消化器内科), 岡山 哲也(京都府立医科大学 大学院医学研究科 消化器内科), 吉田 直久(京都府立医科大学 大学院医学研究科 消化器内科), 堅田 和弘(京都府立医科大学 大学院医学研究科 消化器内科), 鎌田 和浩(京都府立医科大学 大学院医学研究科 消化器内科), 内山 和彦(京都府立医科大学 大学院医学研究科 消化器内科), 石川 剛(京都府立医科大学 大学院医学研究科 消化器内科), 高木 智久(京都府立医科大学 大学院医学研究科 消化器内科), 半田 修(京都府立医科大学 大学院医学研究科 消化器内科), 八木 信明(京都府立医科大学 大学院医学研究科 消化器内科), 古倉 聡(京都府立医科大学 大学院医学研究科 消化器内科), 内藤 裕二(京都府立医科大学 大学院医学研究科 消化器内科)
抄録 【背景】若年性ポリポーシス症候群(juvenile polyposis syndrome:以下JPS)は非腫瘍性の若年性ポリープが消化管に多発する常染色体優性遺伝疾患である。本疾患のポリープは過誤腫で、癌化はまれとされてきたが、近年、癌化のリスクを有する事が知られている。さらに、その原因遺伝子も明らかにされており、SMAD4あるいはBMPR1A遺伝子の変異が約50-60%の患者で認められる。今回、胃ポリープの癌化を認めたJPSの1例を経験したので、文献的考察を加えて報告する。【症例】47歳、男性。家族歴として父親、弟が胃癌で他界している。37歳時に初診し、胃体下部から幽門部に大小無茎性の浮腫状ポリープが集簇し、噴門部から胃体部には多結節状のすう襞肥大を認めた上、上部空腸や大腸にもポリープを認め、JPSと診断され、定期的内視検査でフォローされていた。当初より貧血を認め、間欠的な鉄剤投与で経過観察を行っていたが、2012年7月の上部消化管内視鏡検査にて胃ポリープの増大と貧血の進行を認めたため、同年9月、内視鏡的胃ポリープ切除術を施行した。切除標本の病理組織結果で、一部にadenocarcinoma を認め、部分的に間質浸潤も認められたことから、同年11月に腹腔鏡下胃全摘術を施行した。【結語】胃ポリープの癌化を認めたJPSの1例を経験した。本症例では、コントロール不良の貧血とポリープの癌化を認めた上、ポリープの局在などの臨床所見と病理組織学的所見より、SMAD4遺伝子の変異が示唆されたため、胃全摘術が適切であったと考えられた。
索引用語 若年性ポリポーシス症候群, 胃