セッション情報 ワークショップ1「膵疾患診療の最近の進歩」

タイトル W1-7:

膵腫瘍に対するEUS-FNAの有用性と問題点の検討

演者 加藤 洋子(田附興風会北野病院)
共同演者 浅田 全範(田附興風会北野病院), 八隅 秀二郎(田附興風会北野病院)
抄録 【目的】当院にて施行した膵腫瘍に対するEUS-FNAの成績を明らかにし、有用性と問題点を検討する。【対象】2007年1月より2012年10月の期間に膵腫瘍にたいし当院にてEUS-FNAを施行したうち最終診断を得た101例。腫瘍の内訳は膵癌63例、膵内分泌腫瘍8例、転移性膵癌7例、腫瘤形成性膵炎4例、自己免疫性膵炎 4例、その他13例。腫瘍径の平均値は28mmであった。【方法】EUS-FNAでの病理診断と最終診断を比較し、正診率、感度、特異度を検討した。最終診断は切除例では術後病理診断を、非切除例では画像所見、検査などを含むその後の臨床経過より判断している。【検討項目】1.膵腫瘍の診断能 2.膵癌診断能 3.膵内分泌腫瘍の診断能4.転移性膵腫瘍の診断能 5.偶発症 6.穿刺針による正診率(19G/22G/25G)7.腫瘍径別の正診率(10mm未満/10mm以上20mm未満/20mm以上30mm未満/30mm以上40mm未満/40mm以上 8.診断困難例の検討【成績】1.正診率86.5% 感度84%特異度100% 2.正診率84.3% 感度85.7% 特異度100% 3.正診率90% 感度90% 特異度100% 4. 正診率85.7% 感度85.7% 特異度100% 5.偶発症発生率は1.9%6.正診率(19G/22G/25G):100%/90%/78.3% 7.10mm未満/10mm-20mm/20mm-30mm/30mm-40mm/40mm以上:60%/88.9%/80.8%/92.9% 8.診断困難例のうち臨床的に膵癌と診断し、EUS-FNAにて診断できず手術を施行した3例を術後標本とFNAの標本を比較した。腫瘍の分化度が高く、細胞異型が乏しく検体は採取されているも構造異型までの判断が必要であったが、組織量が少なく構造異型までの判断ができないことが原因と考えられた。【考察】EUS-FNAは診断能が高く、比較的安全な検査であり、腫瘍径は10mm以上あれば十分診断可能である。さらに正確な診断を得るために十分な検体量が望ましく、安全面に考慮し可能であれば穿刺針は太めのものが望ましいと考えられた。
索引用語 膵臓, EUS-FNA