セッション情報 シンポジウム2「肝細胞癌に対する治療戦略」

タイトル S2-7:

当院治療経験に基づいた進行肝癌に対する治療戦略

演者 鄭 浩柄(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科)
共同演者 杉之下 与志樹(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 北本 博基(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 高島 健司(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 小川 智(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 松本 知訓(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 増尾 謙志(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 福島 政司(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 和田 将弥(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 占野 尚人(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 井上 聡子(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 藤田 幹夫(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 岡田 明彦(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科), 猪熊 哲朗(神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科)
抄録 【目的】進行肝癌に対するソラフェニブ投与においては、TACEや肝動注化学療法(HAIC)からの切替え時期、あるいは優先すべき治療法の判断に迷う症例をしばしば経験する。今回、当院における進行肝癌治療経験から、行い得る最大限の治療を行うための方策について検討を行った。【方法】当院では2012年9月までに進行肝癌42例に対してソラフェニブ投与を行った。内訳は平均年齢68(32~85)歳、Child-Pugh(C-P)スコア 5/6/7/9 17/16/8/1例、TNM stage III/IVA/IVB 15/11/16例。ソラフェニブ投与開始量は800/400mg 36/6例で、投与期間中央値は63(12~1181)日であった。またソラフェニブ上市以前にHAICを導入したC-P A進行肝癌例で、初期治療効果がSDまたはPDであった症例(12例;stage III/IVA 5/7)において、C-P Bへの移行期間についても検討を行った。【結果】1ヶ月以上ソラフェニブ投与が可能であったC-P A症例(28例)におけるDCR 46%(mRECIST基準)、MST 347日であったのに対し、C-P B(7点)症例では投与期間中央値28日と短くMSTも93日と不良であった。C-P A症例における予後不良因子(単変量解析)はC-Pスコア6点、治療効果PDであった。TNM stageでは差がみられなかったが、肝内病変の無いリンパ節、遠隔転移のみのIVA・IVB症例では比較的予後良好であった。ソラフェニブ中止後の後治療は15例に行われ、TACEやHAIC、全身化学療法などが施行されたが、HAIC導入例に1例PRがみられた他はPDであった。ソラフェニブ未投与でHAIC治療効果不良(SDまたはPD)例におけるC-P AからBへの悪化期間中央値は132日でstage IVAではより早期に悪化する傾向がみられた。【結論】既報のごとく、C-P B症例ではソラフェニブ投与可能な期間が短く、予後不良である。ソラフェニブ開始後早期の段階で明らかなPD例では他治療へ切り替えるべきである。HAICを先行導入した肝予備能良好例で治療効果不良であれば早期にソラフェニブへの切り替えを検討すべきと考える。
索引用語 肝細胞癌, ソラフェニブ