セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 8:EUSが診断に有用であったvon Hippel-Lindau病(VHL)に合併した多発性漿液性嚢胞腫瘍(SCN)の一例 |
演者 | 高田 良司(大阪府立成人病センター 肝胆膵内科) |
共同演者 | 蘆田 玲子(大阪府立成人病センター 消化器検診部), 石田 伸子(大阪府立成人病センター 消化器検診部), 山井 琢陽(大阪府立成人病センター 肝胆膵内科), 福武 伸康(大阪府立成人病センター 肝胆膵内科), 高倉 玲奈(大阪府立成人病センター 消化器検診部), 井岡 達也(大阪府立成人病センター 消化器検診部), 上原 宏之(大阪府立成人病センター 肝胆膵内科), 片山 和宏(大阪府立成人病センター 肝胆膵内科DELIMITER大阪府立成人病センター 消化器検診部) |
抄録 | 症例:57歳 女性.主訴:特になし.既往歴:47歳時に胆管細胞癌手術,56歳時に右腎細胞癌手術.生活歴:喫煙歴なし,飲酒歴なし.現病歴:2002年他院で胆管細胞癌の手術の際に多房性膵嚢胞を指摘された.膵液細胞診を過去に2回行っているが,悪性細胞は認めず、経過観察されていた. 2012年9月の腹部超音波検査にて主膵菅拡張の増悪を認めたため精査目的に当科紹介となった.受診後検査結果:身体所見に特記なく、血液検査では異常所見はみとめなかった.腹部CTでは膵全体に大小の多房性嚢胞を認めた。膵頭部と膵体尾部には軽度造影効果のある充実性部分を伴い,膵体部の主膵管は著明に拡張していた.MRI/MRCPでは膵全体に嚢胞性変化が認められ、充実性部分は頭部、体尾部ともにT2強調画像でややhigh intensityであった.嚢胞内に陰影欠損は認めなかった.ERCPでは膵頭部主膵管に狭細,膵体部主膵管に著明な拡張を認めた.嚢胞と主膵管との交通は認めなかった.膵液は漿液性で細胞診は陰性であった.EUSでは膵全体に嚢胞胞性病変を認め、充実部分はhoneycomb appearanceを伴ったmicrocystic lesionとmacrocysitc lesionの混在として描出された。造影EUSでは充実部分は早期相から後期相にかけて造影剤の取り込みを認めた.この時点でSCNを疑ったが、悪性が完全には否定できず、確定診断目的にEUS-FNAを施行した。その際の嚢胞液分析では細胞診は陰性、CEA;<0.5ng/ml,アミラーゼ;194U/lでありSCNに矛盾しないと判断した.また以後の問診により網膜血管腫および脊椎血管腫の既往が判明した。腎癌の既往、上記検査結果よりVHLの可能性を考慮し、患者の同意を得たうえで遺伝子検査を行ったところ,VHL遺伝子欠損があることが判明した.VHLに合併したSCNと診断し、現在当院外来にて経過観察中である.まとめ:今回EUSが診断に有用であったVHLに合併したSCNの一例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する. |
索引用語 | SCN, VHL |