セッション情報 | ワークショップ1「膵疾患診療の最近の進歩」 |
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タイトル | W1-5:充実性膵腫瘍の病理診断におけるEUS-FNAの意義 |
演者 | 池澤 賢治(大阪大学大学院医学系研究科 消化器内科学) |
共同演者 | 重川 稔(大阪大学大学院医学系研究科 消化器内科学), 竹原 徹郎(大阪大学大学院医学系研究科 消化器内科学) |
抄録 | 【目的】充実性膵腫瘍に対するEUS-FNAは優れた診断率と安全性が報告されているが、ERCPとの比較の報告は少ない。またEUS-FNA時の迅速細胞診の意義についても未だcontroversialである。今回我々は充実性膵腫瘍での病理学的検査を施行した症例についてEUS-FNAとERCPでの診断率等の比較を行い、FNA時の迅速細胞診の意義について検討した。 【方法】2008年4月から2012年10月までに充実性膵腫瘍の精査加療目的で当院に入院した335症例中、病理学的検査を施行した269症例を検討した。また迅速細胞診の有無(2010年10月以後と以前)での診断率、合併症等の比較を行った。 【結果】平均年齢67.0歳、男性/女性152/117例、頭部/体部/尾部134/84/51例、平均腫瘍径32.4mm、Stage(UICC) IA/IB/IIA/IIB/III/IV 3/1/78/14/43/92例、最終診断 通常型膵管癌/IPMN由来浸潤癌/内分泌腫瘍/自己免疫性膵炎/腫瘤形成性膵炎/その他 211/7/15/10/8/18例であった。ERCP(160例、述べ170回)は感度/特異度/正診率 31.4/100/42.2%で、合併症 15.3%(軽症膵炎 23例、消化管穿孔 1例、胆管炎 1例、門脈穿孔 1例)であった。一方、EUS-FNA(150例、述べ154回)は感度/特異度/正診率 91.8/100/93.3%で、合併症 1.3%(軽症膵炎 2例)であった。EUS-FNAは感度・正診率・合併症で有意に優れていた(p<0.001)。検査前診断で悪性と判断されEUS-FNAが施行された127症例のうち、8例(6.3%)で検査後に診断が修正され、6例(4.7%)で治療方針が変更された。また迅速細胞診の有無での比較では、感度(有/無) 97.6/79.5%(p=0.002)、正診率 98.0/84.0%(p=0.002)、平均穿刺回数1.8/2.9回(p<0.001)で、迅速細胞診有の症例群で有意に良好な診断率が得られ、穿刺回数も減少した。一方合併症には有意差を認めなかった(1.0/1.9%; p=0.56)。 【結論】充実性膵腫瘍に対するEUS-FNAはERCPと比べ診断率や合併症率の点で有意に良好であり、その正確な診断能により適切な治療方針の選択にも寄与すると考えられた。また、EUS-FNA迅速細胞診は充実性膵腫瘍の確実な病理学的診断に有用であった。 |
索引用語 | 充実性膵腫瘍, EUS-FNA |