セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年目迄)

タイトル Y5-7:

腫瘍内出血を呈した肉腫様肝癌の1例

演者 千品 寛和(近畿大学 医学部 消化器内科)
共同演者 井上 達夫(近畿大学 医学部 消化器内科), 田中 梨絵(近畿大学 医学部 消化器内科), 山田 光成(近畿大学 医学部 消化器内科), 有住 忠晃(近畿大学 医学部 消化器内科), 田北 雅弘(近畿大学 医学部 消化器内科), 北井 聡(近畿大学 医学部 消化器内科), 矢田 典久(近畿大学 医学部 消化器内科), 萩原 智(近畿大学 医学部 消化器内科), 南 康範(近畿大学 医学部 消化器内科), 上嶋 一臣(近畿大学 医学部 消化器内科), 西田 直生志(近畿大学 医学部 消化器内科), 工藤 正俊(近畿大学 医学部 消化器内科)
抄録 症例:73歳、女性。平成23年夏頃より左側臥位になると腹部の圧迫感を自覚するも放置していた。平成24年1月に右側腹部痛と腹部腫瘤を自覚したため近医を受診。腹部CT、エコー検査にて肝右葉に約10cm大の腫瘤を認め、精査加療目的で当院紹介受診となった。当院外来で各種画像検査を行う予定としたが、1月20日に突然の腹痛を自覚し来院。同日施行した腹部造影CTで肝右葉下区に突出する乏血性腫瘍を認め、腫瘍内部に造影剤の流出を認め、腫瘍内出血の診断で同日緊急入院となった。血液生化学所見では炎症反応の軽度の上昇、貧血を認め、CA19-9が300U/mlと高値を示した。1月23日に待機的塞栓術を施行、腫瘍は右肝動脈後区域枝、右結腸動脈からの栄養を受けており、腫瘍の辺縁のみの造影が確認された。右肝動脈から塞栓術を施行。明らかな転移を認めなったため、外科切除を2月23日に施行。腫瘍は小児頭大で、腹壁、腹膜、胆嚢、右側結腸、十二指腸下行脚付近に浸潤していたため、十二指腸壁を一部切除し、肝後区域、右半結腸切除、胆摘術を施行した。切除標本の病理学的検討で、類洞に浸潤性に増殖する紡錘形の腫瘍細胞の増殖を認め、免疫学的検討ではCK8、CK18、AE1/AE3などの上皮性マーカーの発現を認めた。間葉系マーカーであるVimentinの発現は見られなかったが、腫瘍形態等を考慮し、肉腫様肝癌と診断した。本症例は肝癌の治療歴はなく、肝外に発育し、さらに腫瘍内に出血を呈した稀な症例であると考えられるため、若干の文献的考察を含め報告する。
索引用語 肉腫様肝癌, 腫瘍内出血