セッション情報 一般演題

タイトル 1:

最近経験した胆嚢捻転症の2例

演者 三長 孝輔(日本赤十字社和歌山医療センター 消化器内科)
共同演者 松本 久和(日本赤十字社和歌山医療センター 消化器内科), 野口 未央(日本赤十字社和歌山医療センター 消化器内科), 東 俊二郎(日本赤十字社和歌山医療センター 消化器内科), 籔内 洋平(日本赤十字社和歌山医療センター 消化器内科), 太田 彩貴子(日本赤十字社和歌山医療センター 消化器内科), 信岡 未由(日本赤十字社和歌山医療センター 消化器内科), 三上 貴生(日本赤十字社和歌山医療センター 消化器内科), 岩上 裕吉(日本赤十字社和歌山医療センター 消化器内科), 津田 喬之(日本赤十字社和歌山医療センター 消化器内科), 李 宗南(日本赤十字社和歌山医療センター 消化器内科), 中村 文保(日本赤十字社和歌山医療センター 消化器内科), 谷口 洋平(日本赤十字社和歌山医療センター 消化器内科), 中谷 泰樹(日本赤十字社和歌山医療センター 消化器内科), 赤松 拓司(日本赤十字社和歌山医療センター 消化器内科), 瀬田 剛史(日本赤十字社和歌山医療センター 消化器内科), 浦井 俊二(日本赤十字社和歌山医療センター 消化器内科), 上野山 義人(日本赤十字社和歌山医療センター 消化器内科), 山下 幸孝(日本赤十字社和歌山医療センター 消化器内科)
抄録 【症例1】89歳女性、BMI13.7。2012年8月中旬に嘔吐、腹痛を主訴にERを受診。右側腹部に圧痛があり、血液検査では白血球12000/μl、CRP1.89mg/dlと上昇していた。腹部超音波検査では胆嚢腫大と胆嚢壁の全周性肥厚、3層構造を認めたが結石はなかった。腹部造影CTでは肝表の腹水および胆嚢の下方偏位、壁の浮腫状肥厚、造影効果不良があり、胆嚢管が途中で急峻に向きを変えていたことから胆嚢捻転症を疑った。経皮的に胆嚢穿刺を行ったところ血性胆汁であり、血流障害、壊死の可能性を考慮し、緊急開腹胆嚢摘出術を施行した。Gross2型遊走胆嚢で、胆嚢は暗赤色を呈し270°反時計方向に回転している完全型捻転であった。術後経過良好で10日目に退院した。【症例2】87歳女性、BMI15.9。2012年9月末に倦怠感、嘔気、腹部膨満を主訴にERを受診。腹部は全体に膨満、右上腹部に鶏卵大の可動性良好な腫瘤を触知した。血液検査では白血球13400/μl、CRP1.28mg/dlと上昇していた。腹部造影CTでは、肝表の腹水、胆嚢壁の著明な浮腫状肥厚及び胆嚢底部の腹壁正中への偏位を認め、胆嚢捻転症を疑った。胆嚢穿刺では、非血性の褐色胆汁で、腹部症状も軽微であったため待機的に入院7日目に腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した。胆嚢はGross1型遊走胆嚢で、高度なうっ血を伴う不完全型捻転であった。術後経過良好で術後4日目に退院した。【考察】胆嚢捻転症は肝床部との固定が不十分な遊走胆嚢が胆嚢頚部、胆嚢管で捻転し血行障害を来す疾患で、急性腹症の中では比較的まれで術前診断が困難なことも多い。今回経験した2例は先天的因子として遊走胆嚢の存在があり、後天的因子としてるい痩、老人性亀背を認めた。画像診断では、胆嚢管の走行や胆嚢底部の偏位および胆嚢壁の造影効果不良の評価に造影CTが有用であり、診断後は速やかな胆嚢摘出が望まれる。造影CTとともに経皮的胆嚢穿刺における血性胆汁の証明も、胆嚢の血流障害や胆嚢壊死への進行を予測し緊急手術を行うための指標として有用と考えられた。自験例に若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 胆嚢捻転症, 遊走胆嚢