セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年目迄)

タイトル Y2-5:

十二指腸狭窄を呈した糞線虫症に小腸癌を合併した一例

演者 恩田 紗緒里(守口敬任会病院 消化器内科)
共同演者 高尾 美幸(守口敬任会病院 消化器内科), 築野 美保(守口敬任会病院 消化器内科), 阪口 正博(守口敬任会病院 消化器内科), 植野 吾郎(守口敬任会病院 消化器外科), 高山 昇一(守口敬任会病院 消化器外科), 島田 守(守口敬任会病院 消化器外科), 李 喬遠(守口敬任会病院 消化器外科), 岡 博史(守口敬任会病院 消化器外科), 倉本 貴典(大阪医科大学 第二内科), 樋口 和秀(大阪医科大学 第二内科)
抄録 【症例】50代男性【主訴】食思不振、嘔吐【現病歴】平成16年頃より食思不振と食後の嘔吐を繰り返し、近医にて十二指腸狭窄を指摘されるも放置していた。平成24年4月から症状の悪化を認め、精査加療目的に当院に入院した。【経過】腹部CTにて十二指腸水平脚から空腸に壁肥厚を認めた。上部消化管内視鏡にて十二指腸水平脚に狭窄を認め肛門側へのスコープの通過は不能であった。小腸造影では十二指腸水平脚の狭窄化と空腸には口側の拡張を伴う著明な狭窄を認めた。食物通過は困難と考えられ、患者の強い希望もあり、胃空腸バイパス術及び狭窄の精査目的に手術を施行した。術中所見にて空腸に全周性の狭窄を認め、空腸部分切除を追加した。病理検査の結果、空腸狭窄部からはAdenocarcinomaを認め、同時に糞線虫の虫体と虫卵が検出され、小腸腺癌、糞線虫症と診断された。術後、症状改善は認められたが、栄養状態の改善は乏しく、糞線虫症の治療を開始した。イベルメクチン投与後、栄養状態は著明に改善し、残存病変検索目的に経口的ダブルバルーン小腸内視鏡でバウヒン弁まで観察したところ、遺残病変は認めず十二指腸水平脚の狭小化は消失していた。以上から糞線虫症は治癒したものと考え、術後補助化学療法としてTS-1単剤療法を開始し、現在経過良好である。【結語】小腸癌を合併した糞線虫症の症例を経験し興味深い症例と考え報告する。
索引用語 糞線虫症, 小腸癌