セッション情報 | Freshman Session(卒後2年迄) |
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タイトル | F1-9:自他覚所見に乏しく診断に苦慮したNOMIの一例 |
演者 | 大竹 由利子(市立豊中病院 消化器内科) |
共同演者 | 高橋 啓(市立豊中病院 消化器内科), 齊木 浩次(市立豊中病院 消化器内科), 都木 航(市立豊中病院 消化器内科), 近藤 尚(市立豊中病院 消化器内科), 澤村 真理子(市立豊中病院 消化器内科), 神下 真慶(市立豊中病院 消化器内科), 林 史郎(市立豊中病院 消化器内科), 山本 政司(市立豊中病院 消化器内科), 山本 克己(市立豊中病院 消化器内科), 高木 邦夫(市立豊中病院 消化器内科), 澁谷 充彦(市立豊中病院 消化器内科), 市場 誠(市立豊中病院 消化器内科), 福井 浩司(市立豊中病院 消化器内科), 稲田 正己(市立豊中病院 消化器内科), 波田 豪(市立豊中病院 消化器外科), 三宅 正和(市立豊中病院 消化器外科) |
抄録 | 症例は78歳、男性。既往歴は糖尿病、心筋梗塞。現病歴:平成24年11月4日の夕より腹部不快感、嘔吐が出現し、改善しないため受診。現症として圧痛や筋性防御、反跳痛は認めず、下腹部正中の違和感を認めるのみであった。血液検査ではWBC10000/μlと軽度上昇を認めた。心電図では洞性徐脈・I度房室block以外の異常所見を認めなかった。胸腹部X線では明らかなニボー像や、free airを認めなかった。腹部単純CTでは結腸の便貯留を認め、門脈、上腸管膜静脈内にガス像を認めた。腹部症状乏しく血液検査上も軽度の炎症反応のみであったため、保存的加療となった。入院後も腹部症状の増悪は認めず、翌朝には不快感も改善した。血液検査ではCRP6.48mg/dlとCRPの上昇を認めるのみであり、また、動脈血液ガス検査ではアシドーシスを認めなかった。入院後12時間での造影CTでは肝内・上腸間膜静脈内のガス像は消失しており、一部腸管壁に造影不良が認められたが、明らかな血栓を疑う所見は認められなかった。腸管壊死の疑いにて試験開腹術を施行したところ、混濁した腹水と回腸末端付近に壊死性変化を認め、小腸切除・回盲部切除となった。摘出標本の病理組織所見では、虚血に相当する粘膜変化が確認され、腸間膜動脈内に明らかな血栓を認めなかった。臨床経過・病理所見からNOMI(非閉塞性腸間膜虚血症)と診断した。術後の経過は良好であり、術後9日目に退院となった。NOMIは腸間膜血管に器質的閉塞がないにも関わらず、腸管の虚血・壊死を生じる疾患である。本邦では死亡率50%以上との報告が多く、致死率の高い疾患といえる。今回の症例では、腹部所見・血液検査の異常は軽度であったが、造影CTにて小腸虚血を疑い、試験開腹から小腸切除・回盲部切除を行うことで救命し得た。自他覚所見に乏しく診断に苦慮したNOMIの1例を経験したので、若干の文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 | NOMI, 非閉塞性腸間膜虚血症 |