セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年目迄)

タイトル Y7-6:

EUS-FNAで診断しえた膵尾部癌の1例

演者 森田 幸弘(大津市民病院 消化器内科)
共同演者 高谷 宏樹(大津市民病院 消化器内科), 岩井 直人(大津市民病院 消化器内科), 土井 俊文(大津市民病院 消化器内科), 小木曽 聖(大津市民病院 消化器内科), 藤井 恒太(大津市民病院 消化器内科), 高田 龍介(大津市民病院 消化器内科), 益澤 明(大津市民病院 消化器内科), 松本 尚之(大津市民病院 消化器内科), 高見 史朗(大津市民病院 消化器内科), 若林 直樹(大津市民病院 消化器内科), 片岡 慶正(大津市民病院 消化器内科)
抄録 症例は70歳代の男性。毎年当院で人間ドックを受けていた。平成23年8月初旬より右肩から背部の疼痛を認め近医受診され、単純MRIで第2胸椎に転移性骨腫瘍を指摘された。同年9月当院総合内科を紹介受診され、原発巣精査のため造影CT検査を考慮したが造影剤アレルギーのため、単純CT検査を施行、右肺野に結節を認め、原発性肺癌の転移性骨腫瘍と考えた。しかしPET-CT検査を行ったところ、両下肺野に多発する小さな集積と右肺門リンパ節にも集積を認め、原発性肺癌を積極的に疑う所見ではなくリンパ節転移による癌性リンパ管症の可能性が考えられた。また膵尾部に淡い異常集積を認めたため、精査目的に当科紹介となった。EUSを施行したところ、膵尾部に約20mm大の不整な低エコー腫瘤を認め、原発性膵尾部癌と考えた。EUS-FNAを施行したところ、細胞診ではclass5で、病理組織検査では異型細胞が管状・浮腫状に増生しており、腺癌の診断となった。また第2胸椎の転移性骨腫瘍に対しても経皮的に生検を行ったところ、同様の腺癌を認め、膵尾部癌の転移と考えた。診断後MRI検査を行ったところ、膵尾部にT1強調像では低信号、拡散強調像では高信号を示す腫瘍を認めた。分子標的薬を併用した放射線化学療法目的に他院に転院となった。近年画像診断は飛躍的に進歩しているが、膵腫瘍を検出する検査手技としてはEUS/EUS-FNAが最も感度の高い検査の一つである。3cm以下の膵腫瘍を検出する感度はEUS 93%、CT 53%、MRI 67%との報告もある。EUS/EUS-FNA はCTを含め他の検査では捉えることが困難な膵腫瘍を、簡便かつ高精度に診断することができる。今回我々はEUS-FNAで診断しえた膵尾部癌の1例を経験したので、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 EUS-FNA, 膵癌