セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年目迄)

タイトル Y3-10:

腸管出血性大腸炎の経過中、臨床症状の改善を認めていたにも関わらず溶血性尿毒症症候群を発症した1例

演者 山中 広大(愛仁会 高槻病院 消化器内科)
共同演者 角田 力(愛仁会 高槻病院 消化器内科), 中野 遼太(愛仁会 高槻病院 消化器内科), 門田 智裕(愛仁会 高槻病院 消化器内科), 徳山 長裕(愛仁会 高槻病院 消化器内科), 松本 尊彰(愛仁会 高槻病院 消化器内科), 小川 浩史(愛仁会 高槻病院 消化器内科), 北見 元哉(愛仁会 高槻病院 消化器内科), 石村 恵美(愛仁会 高槻病院 消化器内科), 志柿 泰弘(愛仁会 高槻病院 消化器内科), 中島 英信(愛仁会 高槻病院 消化器内科), 中田 秀史(愛仁会 高槻病院 消化器内科), 大須賀 達也(愛仁会 高槻病院 消化器内科), 平野 誠一(愛仁会 高槻病院 消化器内科), 伊倉 義弘(愛仁会 高槻病院 病理科)
抄録 症例は64歳の女性。既往歴、家族歴に特記事項なし。脂質異常症のため、近医で内服加療中であったが、2012年7月初旬に下腹部痛と下痢を認めたため、当院受診した。受診時には下血も認めており、腹部は平坦、軟で下腹部に軽度の圧痛を認めた。血液検査で炎症反応の軽度上昇を認め、腹部単純CT検査では上行結腸~横行結腸にかけて著明な腸管壁肥厚と周囲の脂肪織濃度の上昇を認めたため、腸管出血性大腸炎の疑いにて入院となった。入院後、保存的加療にて、翌日には腹痛と下血は速やかに消失し、下痢も改善傾向であった。第3病日には鑑別目的に大腸内視鏡検査を施行したが、脾湾曲部では易出血性で、著明な発赤、浮腫を認め、これらに伴う内腔の狭小化も認めた。疼痛も強かったため、同部位より深部大腸への挿入は行わなかったが、内視鏡所見からも病原出血性大腸菌感染を強く疑い、便培養や大腸粘膜培養を複数回施行した。しかし、いずれも病原性大腸菌やVero毒素の検出はされなかった。その後も症状なく経過していたが、第6病日の血液検査にて腎機能障害、貧血進行、血小板低下を認めた。臨床経過と合わせ、溶血性尿毒症症候群(HUS)が疑われたため、改めて腸管出血性大腸菌感染の可能性を考え、血清O157抗リポポリサッカライド抗体を追加検査したところ、陽性所見を認めたため、腸管出血性大腸菌O157大腸炎に続発したHUSと診断した。4単位の赤血球輸血を要したが、尿量は保たれていたため、十分な補液にて慎重に加療継続したところ、透析を要せず、HUSは漸次改善し、第21病日に退院となった。本邦では、年間4000人程度の腸管出血性大腸菌感染者が発生し, その内、HUSの発症頻度は約3.8%程度といわれている。成人発症のHUS症例の報告は散見する程度であるが、いずれも腹痛、下血など含め重篤な経過をたどる症例がほとんどであり、本症例のように速やかに症状の改善を認めたにもかかわらず、HUSを発症する症例は少なく、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 腸管出血性大腸炎, 溶血性尿毒症症候群