セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年目迄)

タイトル Y6-3:

自己免疫性膵炎の経過中に膵液瘻を呈した一例

演者 岩井 直人(大津市民病院 消化器内科)
共同演者 高田 龍介(大津市民病院 消化器内科), 森田 幸弘(大津市民病院 消化器内科), 土井 俊文(大津市民病院 消化器内科), 小木曽 聖(大津市民病院 消化器内科), 藤井 恒大(大津市民病院 消化器内科), 高谷 宏樹(大津市民病院 消化器内科), 益澤 明(大津市民病院 消化器内科), 松本 尚之(大津市民病院 消化器内科), 高見 史朗(大津市民病院 消化器内科), 若林 直樹(大津市民病院 消化器内科), 片岡 慶正(大津市民病院 消化器内科)
抄録 【症例】60歳台,男性【主訴】心窩部痛【現病歴】平成17年10月他院にて自己免疫性膵炎の診断のもとPSL40mg/day投与開始され,漸次減量した上で,平成18年10月にPSLは中止されていた.平成20年4月に全身倦怠感,半年で14kgの体重減少を認め,画像検査から悪性リンパ腫が疑われたが,転居のため当院血液内科紹介となった.当院血液内科では,IgG4関連疾患を疑い,PSL40mg/day投与にて改善を認めた.以後,PSL減量を行い,PSL2mg/day継続中であったが,平成24年3月末に,心窩部痛が出現したため当科紹介となった. CT検査で膵体尾部の腫大,膵管拡張を認め,膵炎の診断で当科入院とした.入院後は,保存的加療にて一旦は軽快したが,3か月後に腹部膨満感が出現し再入院となった.CT検査では多量腹水を認め,腹水穿刺でAmy6900IU/LとAmy高値を示し膵液瘻の診断に至った.入院後,絶食,利尿剤,オクトレオチド300μg/day投与としたがその6週間後には,仮性嚢胞,膵尾部の仮性嚢胞内に仮性動脈瘤の出現を認めた.仮性嚢胞に対しては膵管ステント挿入,仮性動脈瘤に対してはcoiling術が奏功した.その後の経過良好であり,現在通院加療中である.【考察】本症例は,自己免疫性膵炎に対してPSL継続内服していたにも関わらず,慢性炎症からの膵管破綻を来し,膵液瘻を呈したと考えられる.自己免疫性膵炎の再燃形式としては,IgG・IgG4の高値,黄疸,膵全体の腫大,膵外の病変合併等の報告があるが,膵液瘻を来すことは,非常に稀であるため,若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語 自己免疫性膵炎, 膵液瘻