セッション情報 一般演題

タイトル 9:

胆道ドレナージ未施行にて加療し得た硬化性胆管炎を伴う黄疸合併自己免疫性膵炎の一例

演者 森田 敏広(滋賀県立成人病センター 消化器内科)
共同演者 向 あかね(滋賀県立成人病センター 消化器内科), 太田 麻由(滋賀県立成人病センター 消化器内科), 上田 康祐(滋賀県立成人病センター 消化器内科), 山本 修司(滋賀県立成人病センター 消化器内科), 貴田 雅也(滋賀県立成人病センター 消化器内科), 石原 真紀(滋賀県立成人病センター 消化器内科), 藤本 昌澄(滋賀県立成人病センター 消化器内科), 水田 和彦(滋賀県立成人病センター 消化器内科), 松村 和宜(滋賀県立成人病センター 消化器内科)
抄録 【背景】硬化性胆管炎を伴う黄疸合併自己免疫性膵炎(AIP)に対して、ERCPやPTCDによる減黄処置がおこなわれている例を多く認める。一方でAIPによる黄疸は入院後の安静やステロイド治療のみで改善を認めるとの意見もある。黄疸を主訴に発見され、減黄処置を行わずにステロイドによる治療のみで速やかに減黄を認めたAIPの一例を経験したため、閉塞性黄疸を合併したAIPに対する治療方針に関して若干の考察を交えて報告する。【症例】60歳男性。黄疸を主訴に近医受診し造影CTにて肝内胆管の拡張と膵頭部に造影早期相で濃染を示す30mm大の境界明瞭な腫瘤を指摘されたため精査目的に紹介受診された。採血検査ではT.bil の上昇 (1.77mg/dl ) 、肝胆道系酵素の上昇を認めた。また、IgG4は290 mg/dl と上昇をみとめた。精査目的ERCPでは主膵管の狭細像を認めたことなどからAIPを強く疑い、胆管ステントの留置は施行しなかった。病理学的診断目的に行なったEUS-FNAではAIPとの確信は得ないものの悪性所見は認めなかった。日本膵臓学会による自己免疫性膵炎臨床診断基準では疑診であったがAIPが強く疑われたため、診断的治療のため第25病日よりステロイドミニパルスを行い第28病日からプレドニゾロン40mg/day経口投与を開始したところ速やかに閉塞性黄疸の改善およびIgG4値の低下を認めた。【結語】閉塞性黄疸を合併する自己免疫性膵炎においてERCPにおける膵管造影、胆管造影の評価は重要と考えるが、EUS-FNA等にて悪性疾患を除外できた場合に胆道ドレナージの必要性の検討が検討されることは少ない。IgG4高値の硬化性胆管炎を伴う黄疸合併例AIPを疑う症例では、胆管狭窄の治療効果の早期判定が早くできることや胆道ステントの適切な留置期間が未だ確立されていない点などから、感染非合併例には未胆道ドレナージにてのPSL治療先行は合理的な治療の可能性があると思われた。
索引用語 自己免疫性膵炎, 閉塞性黄疸