セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年目迄)

タイトル Y2-9:

炎症を契機に発見された異所性膵を伴った成人空腸重複腸管の一例

演者 松本 淳(大津赤十字病院 消化器科)
共同演者 垣内 伸之(大津赤十字病院 消化器科), 内海 貴裕(大津赤十字病院 消化器科), 森 義治(大津赤十字病院 消化器科), 財間 千景(大津赤十字病院 消化器科), 曽我部 裕子(大津赤十字病院 消化器科), 西田 吉宏(大津赤十字病院 消化器科), 稗田 信弘(大津赤十字病院 消化器科), 松永 康寛(大津赤十字病院 消化器科), 水口 綾(大津赤十字病院 消化器科), 安村 聡樹(大津赤十字病院 消化器科), 友野 輝子(大津赤十字病院 消化器科), 日高 健太郎(大津赤十字病院 消化器科), 本庶 元(大津赤十字病院 消化器科), 長谷川 和範(大津赤十字病院 消化器科), 近藤 雅彦(大津赤十字病院 消化器科), 西川 浩史(大津赤十字病院 消化器科), 三宅 直樹(大津赤十字病院 消化器科), 河南 智晴(大津赤十字病院 消化器科)
抄録 【症例】40歳代、女性。【主訴】腹痛。【現病歴】2日前から背部痛、右季肋部痛が出現。症状が増悪し、38℃台の発熱も出現したため当院救急外来を受診。身体所見では左側腹部に圧痛を認めたが、腹膜刺激徴候は認めなかった。血液検査ではWBC16800/μl 、CRP9.0mg/dlと炎症反応の上昇を認めた。Dynamic CTでは近位空腸、遠位空腸に各々30mm台及び17mm大の分葉状腫瘤を認め、いずれも膵組織と同様の造影パターンを示した。近位空腸の腫瘤は内部に管状構造を有しており、遠位空腸腫瘤の腸間膜付着側には25mm大の内部にair fluid levelを伴う嚢胞様構造を認め、周囲脂肪織濃度上昇を伴っていた。以上より、小腸に多発した異所性膵と異所性膵に関連した空腸の腸間膜内穿孔を疑い、緊急手術を施行、炎症を起こした嚢胞様構造物と異所性膵組織とを含めて空腸部分切除術を施行した。術中所見では腹腔内に腹水や膿瘍形成は認めなかった。病理学的には嚢胞様構造は全層を有する真性憩室であり、腸間膜付着側に位置することから重複腸管と考えられた。重複腸管には著明な炎症所見を認めた。憩室壁の口側空腸にかけて異所性膵は存在し、膵組織は口側空腸に開口しており、炎症所見や線維化は認めなかった。【考察】本例は憩室様に存在した空腸重複腸管の炎症であり、近傍には異所性膵が存在していた。炎症を伴って発症した重複腸管の報告は少なく、更に異所性膵を伴うものは極めて稀である。成人における急性腹症の一つとして空腸重複腸管を考慮する必要があり、興味ある症例と思われたため文献的考察を加えて報告する。
索引用語 重複腸管, 異所性膵