セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年目迄)

タイトル Y5-4:

代償性C型肝硬変に対する当院でのインターフェロン治療について

演者 豊川 優季(京都第一赤十字病院 消化器内科)
共同演者 中村 英樹(京都第一赤十字病院 消化器内科), 寺崎 慶(京都第一赤十字病院 消化器内科), 陶山 遥介(京都第一赤十字病院 消化器内科), 中野 貴博(京都第一赤十字病院 消化器内科), 間嶋 淳(京都第一赤十字病院 消化器内科), 田中 信(京都第一赤十字病院 消化器内科), 川上 巧(京都第一赤十字病院 消化器内科), 鈴木 隆裕(京都第一赤十字病院 消化器内科), 世古口 悟(京都第一赤十字病院 消化器内科), 戸祭 直也(京都第一赤十字病院 消化器内科), 佐藤 秀樹(京都第一赤十字病院 消化器内科), 奥山 祐右(京都第一赤十字病院 消化器内科), 木村 浩之(京都第一赤十字病院 消化器内科), 吉田 憲正(京都第一赤十字病院 消化器内科)
抄録 【目的】代償性C型肝硬変に対するインターフェロン(IFN)投与による有用性、治療効果、発癌について検討した。【方法】当院で2002年1月から2011年11月までにIFNを投与した代償性C型肝硬変44例を対象とした。男性26例、女性18例、年齢は34歳から74歳であった。ウイルス型1型34例中、高ウイルス量が33例、低ウイルス量が1例、2型10例中、高ウイルス量が6例、低ウイルス量が4例であった。血小板が低値のため、脾摘を行ってIFNを導入した症例が6例あった。IFN治療前後でALT、血小板、AFPの各因子について、IFN投与前、半年後、3年後をSVR、TR、NRにおいて比較検討した。【成績】IFN完遂例は1型で28例、2型で9例、IFN中止例は1型で6例、2型で1例であった。完遂例でのIFN投与率は76%、RBV投与率は85%であった。IFNの治療効果はSVRが29.5%、TRが25.0%、NRが45.5%であった。1型高ウイルス群のSVRは20.5%であった。IFN治療前に脾摘を施行した症例は、全例1型の高ウイルス量であった。術前の平均血小板数は5.1万/μlであったが、すべての症例において術後血小板の増加を認め、IFNの導入が可能となり、2例はSVRが得られた。IFN前後のALT、血小板、AFPの検討では、SVR症例では各因子いずれもデータの改善を認めた。TR症例では、3年後には治療前値に復するが、AFPは低値が持続していた。NR症例では改善はみられなかった。IFN終了後に発癌を認めた症例は8例であり、SVRが3例、TRが3例、NRが2例であった。IFN終了前から発癌した症例や投与終了7年後に発癌をした症例もあった。【結論】代償性C型肝硬変であっても、IFN治療により、SVRが29.5%で得られ、投与可能な症例には積極的に導入を検討すべきである。血小板減少例では、脾摘などを行い、血小板を増加させて導入する事も可能である。TR症例では、AFPの低下が長期間持続する症例があり、発癌を抑制している可能性がある。代償性肝硬変は既に発癌リスクの高い状態であり、IFN治療にも関わらず、発癌を認める症例もあり、治療中、治療後の慎重な経過観察が必要である。
索引用語 代償性C型肝硬変, インターフェロン