セッション情報 一般演題

タイトル 4:

多発肝膿瘍を契機に診断した下部胆管癌の一例

演者 影山  真理(京都第二赤十字病院 消化器内科)
共同演者 島本  真里(京都第二赤十字病院 消化器内科), 平田  祐一(京都第二赤十字病院 消化器内科), 白川  敦史(京都第二赤十字病院 消化器内科), 岡田  雄介(京都第二赤十字病院 消化器内科), 真田  香澄(京都第二赤十字病院 消化器内科), 中瀬  浩二朗(京都第二赤十字病院 消化器内科), 萬代  晃一朗(京都第二赤十字病院 消化器内科), 鈴木  安曇(京都第二赤十字病院 消化器内科), 森川  宗一郎(京都第二赤十字病院 消化器内科), 河村  卓二(京都第二赤十字病院 消化器内科), 河端  秀明(京都第二赤十字病院 消化器内科), 宮田  正年(京都第二赤十字病院 消化器内科), 盛田  篤広(京都第二赤十字病院 消化器内科), 田中  聖人(京都第二赤十字病院 消化器内科), 宇野  耕治(京都第二赤十字病院 消化器内科), 安田  健治朗(京都第二赤十字病院 消化器内科), 中島 正継(京都第二赤十字病院 消化器内科), 桂 奏(京都第二赤十字病院 病理診断科)
抄録 症例は60歳代、男性。2012年7月下旬より40℃台の発熱があり、当院へ紹介となった。来院時の血液検査にてCRP、肝酵素の上昇を認め、腹部造影CTでは、肝右葉に早期から不均一な造影効果を示す低吸収域を複数認めた。肝膿瘍を疑い、抗生剤の投与を行ったが改善せず、経皮経肝膿瘍ドレナージを施行した。その後、肝膿瘍は縮小傾向を示し、炎症反応も低下した。肝膿瘍の原因精査目的で施行したMRCPにて、下部胆管に不整な狭窄を認めた。ERCPでも同様の所見を認め、胆管狭窄部の擦過細胞診で腺癌と診断した。CT等で明らかな遠隔転移を認めなかったため、膵頭十二指腸切除術を施行した。切除標本では、下部胆管に約5cmの範囲で白色調の腫瘤を認め、病理診断結果はtub1、SS、pPanc1b、pT3、pN2、M(-)であり、進行度はstageIVaであった。肝膿瘍の感染経路としては、経胆道性、経門脈性、経肝動脈性、直達性などが挙げられ、肝膿瘍の治療を行う際には、感染経路及び感染の原因となる病変の診断が重要である。本症例においてはCT等で肝内胆管拡張を指摘できず、肝膿瘍ドレナージからの造影にて胆管との交通は明らかでなかったものの、肝膿瘍の原因精査として施行したMRCPにより胆道疾患の存在が明らかとなった。今回、肝膿瘍を契機に診断した下部胆管癌を経験したので、文献的考察を加え報告する。
索引用語 肝膿瘍, 胆管癌