共同演者 |
川端 利博(公立山城病院消化器科), 石破 博(公立山城病院消化器科), 坂上 共樹(公立山城病院消化器科), 黒田 雅昭(公立山城病院消化器科), 今井 昭人(公立山城病院消化器科), 新井 正弘(公立山城病院消化器科), 氏家 和人(公立山城病院外科), 柳沢 弥(柳沢診療所) |
抄録 |
【症例】77歳女性【主訴】労作時息切れ【現病歴】2012年5月より労作時呼吸苦出現し、柳沢診療所受診したところ注腸造影で異常を認めたため5/18当院紹介となった。【既往歴】高血圧(結核の既往なし)【家族歴】特記事項無し【服薬・生活歴】降圧薬。飲酒喫煙歴なし【身体所見】 発熱なし、血圧低下なし、頻脈なし 。軽度収縮期雑音あり。腹部平坦軟、圧痛なし、腫瘤触知せず。腸雑音亢進減弱無し。【経過】血液検査:低球性低色素性貧血あり(Hb7.2g/dl MCV70.1fl)CEA 4.6ng/ml CA19-9 20U/ml。注腸造影所見:横行結腸に著明な短縮と変形、偽憩室形成、萎縮瘢痕帯を認めた。造影CT:横行結腸に軽度壁肥厚を認め、リンパ節腫脹、肝肺腫瘍は指摘できず。大腸内視鏡所見:横行結腸から上行結腸は著明に短縮し不整な潰瘍を伴う病変を認めた。病変の割には伸展は良好であり、周辺に多発瘢痕を認め腸結核や大腸癌が疑われた。生検の結果、粘液癌と診断され、炎症を背景に発生した癌である事が示唆された。以上より腸結核に関連して発生した上行・横行結腸癌と診断し、7/26拡大右半結腸切除術+D2郭清を実施した。手術所見:上行結腸から横行結腸に著明な短縮を認め、Bauhin弁は右上腹部に位置していた。腫瘍は漿膜面から触知できたがリンパ節転移、腹膜播種、肝転移疑う所見は無かった。切除標本肉眼所見:上行結腸から横行結腸にかけて70×32mmの2型病変を認めた。組織学的所見:Adenocarcinoma muconodulare, depth ss2, int, INFb, ly0, v0 , pPM0, pDM0, n(-) 肉芽腫形成や乾酪壊死は認めなかったが多発潰瘍瘢痕や粘膜下層の広範囲な線維化を認め萎縮瘢痕帯に発生した癌であり、腸結核に合併した癌として矛盾は無いと考えられた。【結語】腸結核に合併した進行大腸癌の1例を経験したので報告する。 |