セッション情報 一般演題

タイトル 2:

多彩な臨床像を呈した胆嚢癌の一例

演者 平田 祐一(京都第二赤十字病院 消化器内科)
共同演者 島本 真里(京都第二赤十字病院 消化器内科), 影山 真理(京都第二赤十字病院 消化器内科), 白川 敦史(京都第二赤十字病院 消化器内科), 岡田 雄介(京都第二赤十字病院 消化器内科), 中瀬 浩二朗(京都第二赤十字病院 消化器内科), 真田 香澄(京都第二赤十字病院 消化器内科), 萬代 晃一朗(京都第二赤十字病院 消化器内科), 鈴木 安曇(京都第二赤十字病院 消化器内科), 森川 宗一郎(京都第二赤十字病院 消化器内科), 河村 卓二(京都第二赤十字病院 消化器内科), 河端 秀明(京都第二赤十字病院 消化器内科), 宮田 正年(京都第二赤十字病院 消化器内科), 盛田 篤広(京都第二赤十字病院 消化器内科), 田中 聖人(京都第二赤十字病院 消化器内科), 宇野 耕治(京都第二赤十字病院 消化器内科), 安田 健治朗(京都第二赤十字病院 消化器内科), 山野 剛(京都第二赤十字病院 病理診断科), 桂 奏(京都第二赤十字病院 病理診断科)
抄録 【症例】60歳代男性【主訴】腹部膨満【既往歴】高血圧、糖尿病【現病歴】2012年7月下旬より腹部膨満感を自覚するようになり、近医で右季肋部に腫瘤を指摘されたため、8月中旬に当科を紹介され受診した。腹部超音波検査、腹部単純CTで著明な胆嚢腫大と底部を中心とした壁肥厚を認め、精査加療を目的に入院となった。【経過】血液検査ではWBC 11400/µL、CRP 4.27mg/dl、CA19-9 2085U/mlと高値を認めた。腹部造影CT・MRI、EUSでも胆嚢腫大および底部を中心とした壁肥厚を認め、胆嚢と胃、十二指腸、横行結腸、肝右葉との境界は不明瞭であったが、炎症性変化と腫瘍性変化の鑑別は困難であった。さらに肝内胆管B8に限局性の狭窄を認め、炎症の波及または腫瘍の進展に伴う所見と考えられた。また、肝十二指腸靭帯や傍大動脈領域に軽度腫大した複数のリンパ節を認めたが、質的診断は困難であった。ERCPでは胆嚢が造影されず、肝内胆管B8に限局性の狭窄を認めた。総胆管からの胆汁細胞診ではadenocarcinomaが検出された。下部消化管内視鏡検査では、右側横行結腸に立ち上がりが急峻な発赤調の隆起性病変を認め、頂部より白色調の膿汁の排出を認めた。生検による病理組織学的検索ではInflamed granulation tissueと診断された。注腸では、右側横行結腸の腸間膜側に限局した襞の集中および壁の毛羽立ち像を認め、胆嚢からの炎症波及が疑われた。以上より、炎症所見を伴う胆嚢癌と診断し、手術の方針となった。術中に大動脈周囲リンパ節に転移を認めたため、拡大胆嚢摘出術、胃部分切除術、横行結腸部分切除術を施行した。手術切除標本の病理組織学的検索では、胆嚢頸部から体部を主座とする中分化型腺癌を認めた。癌巣周囲には黄色肉芽腫状の炎症を認めたが、結腸穿通部に悪性細胞は指摘できなかった。以上、他臓器への炎症の波及を伴い、多彩な臨床像を呈した胆嚢癌の一例を経験したので報告する。
索引用語 胆嚢癌, 炎症