セッション情報 | ワークショップ2「食道癌の集約的治療の新たな展開」 |
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タイトル | W2-7:耐術能不良な食道癌症例に対する治療の現状 |
演者 | 古川 政統(奈良県立医科大学 第3内科) |
共同演者 | 守屋 圭(奈良県立医科大学 第3内科), 美登路 昭(奈良県立医科大学 第3内科), 関 建一郎(奈良県立医科大学 第3内科), 堂原 彰敏(奈良県立医科大学 第3内科), 相原 洋祐(奈良県立医科大学 第3内科), 高谷 広章(奈良県立医科大学 第3内科), 瓦谷 英人(奈良県立医科大学 第3内科), 上嶋 昌和(奈良県立医科大学 第3内科), 浪崎 正(奈良県立医科大学 第3内科), 森岡 千恵(奈良県立医科大学 第3内科), 野口 隆一(奈良県立医科大学 第3内科), 吉田 太之(奈良県立医科大学 第3内科), 沢井 正佳(奈良県立医科大学 中央内視鏡・超音波部), 豊原 眞久(奈良県立医科大学 第3内科), 吉治 仁志(奈良県立医科大学 第3内科), 山尾 純一(奈良県立医科大学 中央内視鏡・超音波部), 福井 博(奈良県立医科大学 第3内科) |
抄録 | 【目的】本邦ではStageIからStageIII(T4を除く)までの食道癌症例に対して,一般的に外科手術を基軸とした治療が行われているが,高齢,あるいは多岐に亘る合併症により外科治療が困難な症例も数多く存在する.そこで,当科における耐術能不良な食道癌症例に対する治療方針と治療成績を後方視的に総括した.【方法】対象は2007年4月から2012年9月の間に、外科手術の適応であるが、耐術能不良のために当科で治療した食道扁平上皮癌症例29例(男性25例,女性4例,年齢中央値79歳;60~95歳)であり,病期分類はStageI 6例,StagII 12例,StageIII 11例.当科の治療アルゴリズムとして,化学放射線療法(以下CRT)が実施可能な症例では,放射線治療に中断が生じないよう,基本的に少量持続FP療法を施行している.一方,CRTが実施困難な症例では放射線単独療法(以下RT)を施行している.放射線量に関しては60Gy照射を基本とし,照射後の内視鏡及びCTによる効果判定をふまえて,必要ならば最大10Gyの追加局所照射を加えている.【成績】初回治療奏功率(%)は,CRT群(15例)/RT群(14例)でそれぞれ,StageI 100/100,StageII 100/80,StageIII 100/67であった.原病死率(%)はそれぞれStageI 0/20,StageII 0/17,StageIII 50/67であった.放射線照射は全例で完遂可能であり,消化管出血を併発した1例のみ一時中断を余儀なくされた.Grade3以上症例の早期合併症は,CRT群で血液毒性8例(53%),消化管出血1例,消化器症状1例であり,RT群では血液毒性1例(7%)のみであった.晩期合併症は,CRT群で二次性骨髄線維症,食道狭窄,大動脈穿破を各1例ずつ認め,RT群では胸椎圧迫骨折を1例認めた.【結論】当科での耐術能不良な食道癌症例に対する治療成績は概ね良好であったが,各症例ごとに最適の治療法を選択するために今後更なる検討が必要と考えられた. |
索引用語 | 食道癌, 集約的治療 |