セッション情報 | Young Investigator Session(卒後3-5年目迄) |
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タイトル | Y7-9:経カテーテル的動脈塞栓術が著効した膵仮性嚢胞内出血の一例 |
演者 | 福原 学(大阪赤十字病院 消化器科) |
共同演者 | 西川 浩樹(大阪赤十字病院 消化器科), 大原 芳章(大阪赤十字病院 消化器科), 竹田 治彦(大阪赤十字病院 消化器科), 金坂 卓(大阪赤十字病院 消化器科), 中島 潤(大阪赤十字病院 消化器科), 松田 史博(大阪赤十字病院 消化器科), 幡丸 景一(大阪赤十字病院 消化器科), 邉見 慎一郎(大阪赤十字病院 消化器科), 坂本 梓(大阪赤十字病院 消化器科), 斉藤 澄夫(大阪赤十字病院 消化器科), 西島 規浩(大阪赤十字病院 消化器科), 米門 秀行(大阪赤十字病院 消化器科), 那須 章洋(大阪赤十字病院 消化器科), 関川 昭(大阪赤十字病院 消化器科), 津村 剛彦(大阪赤十字病院 消化器科), 喜多 竜一(大阪赤十字病院 消化器科), 圓尾 隆典(大阪赤十字病院 消化器科), 岡部 純弘(大阪赤十字病院 消化器科), 木村 達(大阪赤十字病院 消化器科), 大崎 往夫(大阪赤十字病院 消化器科) |
抄録 | 【緒言】 膵仮性嚢胞は、慢性膵炎の経過中にしばしば発生し、膿瘍形成、穿孔、嚢胞内出血などを合併することが知られている。嚢胞内出血は経カテーテル的血管塞栓術のよい適応となるが、重篤な合併症も決して稀少ではない。 今回我々はアルコール性慢性膵炎の急性増悪後に生じた仮性動脈瘤形成を伴う膵仮性嚢胞に対し経カテーテル的動脈塞栓術を施行し、特に重篤な合併症を認めず経過良好である一例を経験したので報告する。【症例】症例は、アルコール性慢性膵炎の急性増悪を繰り返している大酒家の71歳男性。2012年4月、心窩部痛を主訴に当院救急外来を受診した。左側から心窩部にかけて痛みを自覚し、腹部はやや板状硬の所見であった。腹部超音波では膵体部にLow echoicで境界明瞭な腫瘤を認めた。血液検査では膵酵素が高値であったため、慢性膵嚢胞の急性増悪を疑い腹部dynamic造影CT施行したところ、膵体部に直径70mmの境界明瞭なLow density area を認め、その内部には仮性動脈瘤の破裂を疑う造影剤の漏出を認めた。膵仮性嚢胞内出血と診断し、緊急経カテーテル的動脈塞栓術を施行した。腹部血管造影では、胃十二指腸動脈(GDA)本幹に形成された動脈瘤よりextravasationの所見を認めたため、この出血部位の近傍にコイルを留置し、出血部位のisolationを行った。TAE後の造影では明らかなextravasationは消失した。術後経過は良好で、外来で経過観察をしたところ動脈瘤は径34mmにまで縮小し現在のところ無症状である。【考察】膵仮性嚢胞内出血は死亡率が25~40%に達する致死的合併症であるため、その早期診断と治療はきわめて重要である。かつては手術による切除が第一選択であったが、近年ではInterventional Radiology(IVR)による止血術でより確実に止血術を施行できるようになった。しかし、IVRのみでは37%の症例において合併症をきたすとも報告されており、術前後の適切な管理が肝要と思われる。今回我々は、経カテーテル的動脈塞栓術でGDAを塞栓し、その後特に重篤な合併症を認めなかった一例を経験したので若干の文献的考察を含めて報告した。 |
索引用語 | 仮性動脈瘤, 膵仮性嚢胞 |