セッション情報 |
ワークショップ15(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)
総胆管結石症に対する治療法の選択と長期成績 (EST:内視鏡的治療 vs LCBDE:腹腔鏡下手術)
|
タイトル |
外W15-1:短期、長期成績から見た総胆管結石症に対する腹腔鏡下一期的治療(LCBDE)の有用性
|
演者 |
長谷川 洋(名古屋第二赤十字病院・外科) |
共同演者 |
坂本 英至(名古屋第二赤十字病院・外科), 小松 俊一郎(名古屋第二赤十字病院・外科) |
抄録 |
1992年より総胆管結石症に対してLCBDEを第一選択として行ってきた。本手術の最大の利点は、低侵襲性とともに、乳頭機能を温存しつつ一期的に治療ができる点にある。(対象)20年間に行ったLCBDEは473例であった。術式の内訳は、経胆嚢管法232例、胆管切開法241例であった。(適応)再発例を除くすべて(術式の選択基準)成因にもとずいて選択。落下結石は経胆嚢管法、その他は胆管切開法が第一選択。(治療成績)成功率は98%。手術時間は平均158分、入院期間は平均7.8日、合併症は22例(7.2%)であった。合併症に重篤なものはなかった。術式別では、経胆嚢管法(134分、5.8日)が胆管切開法(185分,9.6日)に比し優位に良好であった。長期成績も良好で、胆管炎などの合併症は、3例(0.6%)と極めて少なかった。再発は39例(8.2%)で、再発結石はすべてビ石であった。成因別では、落下結石0.9%、原発その他23.1%であり、落下結石で有意に再発が少なかった。再発の危険因子は、単変量解析では、年齢70歳以上、結石の成因、ビ石、胆管径10mm以上、大きさ11mm 以上、胆管結石のみの例であった。多変量解析では年齢70歳以上、結石の成因であった。遺残は17例(3.8%)であった。また、80歳以上の超高齢者に対しても安全に治療が可能であった。総入院費用、日数の検討では、LCBDE(119万、17.4日)、EST+LC(144万、19.2日)とLCBDEの方が医療経済上でも優れていた。(結論)LCBDEの治療成績は短期、長期ともに良好であった。再発率は全体では8.2%であったが、落下結石例の再発率はESTに比しきわめて低率であり、再発防止における乳頭機能温存の重要性が確認された。胆管結石の治療法の選択は成因にもとずいて行うべきであり、落下結石に対してはLCBDEが理想的な治療法である。 |
索引用語 |
総胆管結石症, 腹腔鏡手術 |