セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル F5-4:

自己免疫性膵炎のステロイドパルス症例の検討

演者 田中 俊多(神戸大学 医学部 付属病院 内科系講座 消化器内科学分野 )
共同演者 竹中 完(神戸大学 医学部 付属病院 内科系講座 消化器内科学分野 ), 松木 信之(神戸大学 医学部 付属病院 内科系講座 消化器内科学分野 ), 塩見 英之(神戸大学 医学部 付属病院 内科系講座 消化器内科学分野 ), 増田 充弘(神戸大学 医学部 付属病院 内科系講座 消化器内科学分野 ), 有坂 好史(神戸大学 医学部 付属病院 内科系講座 消化器内科学分野 ), 久津見 弘(神戸大学 医学部 付属病院 内科系講座 消化器内科学分野 ), 早雲 孝信(神戸大学 医学部 付属病院 内科系講座 消化器内科学分野 ), 東 健(神戸大学 医学部 付属病院 内科系講座 消化器内科学分野 ), 松本 逸平(神戸大学 医学部 付属病院 肝胆膵外科), 具 英成(神戸大学 医学部 付属病院 肝胆膵外科), 原 重雄(神戸大学 医学部 付属病院 病理診断科), 伊藤 智雄(神戸大学 医学部 付属病院 病理診断科)
抄録 【目的】自己免疫性膵炎(AIP)と膵癌は治療、予後ともに大きく異なり、正確な診断が必要となるが、限局型AIPでは膵癌との鑑別に苦慮する症例が存在する。膵癌との鑑別にステロイドトライアルが行われるが、早期に反応性を評価できるステロイドパルス療法の有用性が報告されている。今回AIPが疑われるも膵癌との鑑別に苦慮した2症例にステロイドパルス療法を施行した。ステロイドトライアルにおけるステロイドパルス療法の有用性について、若干の文献的考察を加えて報告する。【対象・方法】症例1は64歳男性。IgG4高値(176mg/dl)であり、CTにて膵頭部腫大所見、ERCPにて同部位での主膵管不整狭細像、胆管狭窄を認め、膵液細胞診・膵管擦過細胞診・胆管生検・膵頭部EUS-FNAでも明らかな悪性所見は認められなかったが、PETにてリンパ節転移と肺転移の可能性を指摘されたためステロイドミニパルス療法(メチルプレドニゾロン500mg/日3日間投与・4日間休薬を2回)を施行した。症例2は70歳男性。IgG4高値(276mg/dl)であり、CTにて膵頭部腫大を認め、ERCPにて同部位での主膵管不整狭細像、胆管狭窄を認めた。膵液細胞診・膵管擦過細胞診からatypical cellが認められ、EUS-FNAでも悪性を否定できずステロイドミニパルス療法を施行した。【結果】いずれの症例もミニパルス療法による明らかな有害事象は認められなかった。症例1では膵腫大・主膵管狭細像・胆管狭窄像の改善を認め、PETでリンパ節転移・肺転移を指摘されていた部位の集積も消失した。AIPと診断し経口ステロイド治療に移行し、症状の増悪等は認めていない。症例2では膵腫大は軽快し、PETでも集積の軽快が認められたが、ERCPでは胆管狭窄の改善は軽度であり、膵管狭細の改善も典型的ではなく、かつEUS-FNAで悪性腫瘍を否定できない結果であったため外科的治療の方針となった。【結論】ステロイドパルス療法はAIPのステロイドトライアルに有用であると考えられるが、それでも鑑別に苦慮する例が存在し、さらなる症例の蓄積、検討が必要である。
索引用語 自己免疫性膵炎, ステロイドパルス