セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年目迄)

タイトル Y3-4:

超高齢発症の潰瘍性大腸炎にサイトメガロウイルス腸炎を合併した一例

演者 安田 華世(兵庫県立西宮病院)
共同演者 増田 江利子(兵庫県立西宮病院), 青井 健司(兵庫県立西宮病院), 斎田 美希(兵庫県立西宮病院), 池添 世理子(兵庫県立西宮病院), 柳川 和範(兵庫県立西宮病院), 福島 寿一(兵庫県立西宮病院), 松本 仁(兵庫県立西宮病院), 安永 祐一(兵庫県立西宮病院), 乾 由明(兵庫県立西宮病院), 河田 純男(兵庫県立西宮病院)
抄録 【症例】92歳、男性【主訴】食欲不振、下血【現病歴】間質性肺炎、関節リウマチにて近医通院中、平成24年6月14日頃より食欲不振となり輸液施行されていた。6月17日下血出現したため、翌日精査加療目的で当院入院となった。【既往歴】無症候性脳梗塞【入院後経過】入院時の血液検査にてWBC11600、CRP715.2と炎症反応の亢進を認めた。さらに入院時の腹部CTにて全結腸の著明な拡張、腸管壁肥厚を認めた。感染性腸炎を疑い抗生剤を開始したが下血は持続したため下部内視鏡検査施行した。バウヒン弁・全大腸に易出血性の多発潰瘍を認めた。潰瘍は不整形潰瘍、打ち抜き様潰瘍、縦走潰瘍、帯状潰瘍など多彩で、深い潰瘍のみでなく、浅い潰瘍やアフタも見られた。内視鏡所見上は虚血性腸炎・潰瘍性大腸炎・アメーバ赤痢・サイトメガロウイルス腸炎などが鑑別にあげられたが、生検病理所見・細菌培養・ウイルス学的診断の結果いずれも確定診断に至らなかった。絶食・抗生剤投与にて下血は持続していたものの、第7病日には炎症反応は軽快した。しかし第9病日に38℃の発熱が出現し、第14病日には呼吸状態悪化し、胸部レントゲンにて間質性肺炎の急性増悪を疑い、ステロイドパルス療法を開始した。一時的に呼吸状態は改善し、下血の回数も減少したが、最終的に呼吸不全のため永眠された。多発大腸潰瘍の原因が不明であったため、ご家族の同意の上病理解剖を行った。Crypt distorsion,粘膜筋板の肥厚および好酸球を含む中等度の慢性炎症細胞浸潤を認めた。さらに免疫染色でCMV核内封入体に陽性を示し、潰瘍性大腸炎及びサイトメガロウイルス感染と診断された。【結語】超高齢発症の潰瘍性大腸炎にサイトメガロウイルス腸炎を合併した症例を経験した。潰瘍性大腸炎の経過中や、ステロイド投与例においてサイトメガロウイルス腸炎の合併を認める報告はあるが、本症例のように明らかな免疫不全患者ではなくステロイド投与歴もない、超高齢発症の潰瘍性大腸炎患者の合併は比較的稀であるため報告した。
索引用語 大腸潰瘍, サイトメガロウイルス