セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル F5-9:

両側副腎褐色細胞腫と多発膵内分泌腫瘍を同時に診断・治療したvon Hippel-Lindau病の1例

演者 南出 竜典(神戸市立医療センター 中央市民病院 消化器内科)
共同演者 北本 博規(神戸市立医療センター 中央市民病院 消化器内科), 高島 健司(神戸市立医療センター 中央市民病院 消化器内科), 小川 智(神戸市立医療センター 中央市民病院 消化器内科), 増尾 謙志(神戸市立医療センター 中央市民病院 消化器内科), 松本 知訓(神戸市立医療センター 中央市民病院 消化器内科), 佐竹 悠良(神戸市立医療センター 中央市民病院 消化器内科), 和田 将弥(神戸市立医療センター 中央市民病院 消化器内科), 福島 政司(神戸市立医療センター 中央市民病院 消化器内科), 占野 尚人(神戸市立医療センター 中央市民病院 消化器内科), 井上 聡子(神戸市立医療センター 中央市民病院 消化器内科), 鄭 浩柄(神戸市立医療センター 中央市民病院 消化器内科), 藤田 幹夫(神戸市立医療センター 中央市民病院 消化器内科), 杉之下 与志樹(神戸市立医療センター 中央市民病院 消化器内科), 岡田 明彦(神戸市立医療センター 中央市民病院 消化器内科), 猪熊 哲朗(神戸市立医療センター 中央市民病院 消化器内科), 今井 幸弘(神戸市立医療センター中央市民病院 病理科)
抄録 【症例】19才、女性【主訴】高血圧、発汗【既往歴】特記すべきことなし【家族歴】母が、von Hippel-Lindau(VHL)病【現病歴】健康診断で、高血圧を指摘される。また、最近よく汗をかくようになったため、当院を受診する。画像検査にて、副腎腫瘍・膵腫瘍を認め、精査目的にて紹介される。US、CTにて膵臓には、頭部10mm大・尾部20mm大の境界明瞭なhypervascular tumorを認め、内分泌腫瘍(NET)が疑われた。EUSでは,境界明瞭な低エコー結節として描出され、ERCPでは膵管の軽度の偏位を認めるのみで、拡張・狭窄などはみられなかった。EUS-FNAを施行し、synaptophysin・nCAM陽性の腫瘍細胞を認め、NETと診断した。MIB-1陽性細胞はほとんど認めなかった。また、両側副腎には褐色細胞腫が疑われ、同時に手術を施行することになった。血中ホルモン検査では、インスリン・グルカゴン・ガストリン・VIPなどの上昇はないものの、血中ノルアドレナリン値5.3ng/mlと上昇が見られた。平成23年7月12日に、膵体尾部切除・膵頭部腫瘍核出術・両側副腎切除術が施行された。病理組織診断は、pancreatic NET G1、pheochromocytoma of bilateral aderenal glandであり、画像で指摘された2ヶの腫瘍以外に3ヶのNETが認められた。その後、副腎機能低下症に対し、ホルモン補充療法を継続している。【考察】VHL病は、がん抑制遺伝子であるVHL遺伝子の異常で発症する常染色体優性遺伝の多発腫瘍性症候群で、中枢神経系や網膜の血管芽腫・腎癌・褐色細胞腫などを合併する。膵臓については、単純性嚢胞が多いが、漿液性嚢胞腺腫・内分泌腫瘍(NET)などの合併が知られている。今回、我々は高血圧を契機に診断されたVHL病で、膵NETと褐色細胞腫を同時に切除した1例を経験したため、文献的考察を加えて報告する。
索引用語 膵NET, VHL病