セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年目迄)

タイトル Y5-10:

健常成人に発症したサイトメガロウイルス肝炎の5例

演者 小山 秀和(市立伊丹病院 消化器内科)
共同演者 佐治 雪子(市立伊丹病院 消化器内科), 大内 祥平(市立伊丹病院 消化器内科), 三浦 由雄(市立伊丹病院 消化器内科), 山口 典高(市立伊丹病院 消化器内科), 荻山 秀治(市立伊丹病院 消化器内科), 堀木 優志(市立伊丹病院 消化器内科), 佐野村 珠奈(市立伊丹病院 消化器内科), 村山 洋子(市立伊丹病院 消化器内科), 筒井 秀作(市立伊丹病院 消化器内科)
抄録 CMVは後天性免疫不全症候群患者、移植患者、新生児などの易感染性宿主に対し 重篤な感染症を引き起こすが、健康成人では通常不顕性感染で経過することがほとんどである。今回当院で健常成人に発症したCMV肝炎の5例を経験したので報告する。【症例1】60歳代女性。心窩部痛を認め、当院受診。37度前後の微熱と軽度の頭痛を認め、AST/ALT 237/200 IU/Lと肝酵素の上昇と異型リンパ球の増加を認め、CMV-IgM 3.85(+)であった。【症例2】40歳代男性。38度台の発熱、頭痛を認め当院受診。AST/ALT 69/109 IU/Lと上昇と異型リンパ球の増加を認め、CMV-IgM 3.90(+)であった。【症例3】30歳代男性。39度台の持続する発熱、頭痛を認め当院受診。AST/ALT 289/525 IU/Lと肝酵素の上昇を認め、CMV-IgM 5.08(+)であった。【症例4】30歳代女性。全身倦怠感、咽頭痛、微熱が持続するため当院受診。初診時AST/ALT 53/50と軽度上昇を認め、約1ヵ月後にはAST/ALT 190/274 IU/L まで増加し、CMV-IgM 3.45(+)、C7-HRP(+)であった。【症例5】40歳代男性。全身倦怠感、頭重感と39度台の発熱、顔面を中心に体幹、前腕に伴う皮疹、黄疸が出現し当院紹介入院。AST/ALT 112/238 IU/L 、T-bil/D-bil 14.06/7.62 mg/dl、CMV-IgM 3.99(+)、C7-HRP(-)であった。5例全ての症例でA、B、C型肝炎ウイルス陰性、EB-VCA-IgM抗体陰性、CMV-IgM (+)であったため、サイトメガロウイルス肝炎と診断し、対症療法により2~4週間で肝機能は改善した。【結語】近年成人のCMV抗体保有率の低下が報告されており、今後基礎疾患を有さない成人のCMV感染症の増加が予想される。健常成人において、持続する発熱・倦怠感を伴う肝機能障害の症例ではCMV感染も念頭におき精査する必要があると考える。
索引用語 サイトメガロウイルス肝炎, 急性肝炎